米NVIDIAが8月28日(現地時間)に発表した同社2025年度第2四半期(2024年5~7月)決算は、売上高・利益とも過去最高を更新し、ガイダンスを含め市場予想平均を上回った。しかし、投資家の関心がAI企業の投資収益率に移りつつあり、時間外取引でNVIDIA株は下落した。

5〜7月期の売上高は300億4000万ドル(前年同期比122%増)。純利益はGAAPベースで165億9900万ドル(同168%増)、1株利益は0.67ドル。非GAAPでは、純利益が169億5200万ドル(同152%増)、1株利益は0.68ドル。市場の予想平均は、売上高287億ドル、1株利益0.64ドル(非GAAP)だった。

事業部門別の売上高は以下の通り。

  • データセンター:売上高263億ドル(前年同期比154%増)
  • ゲーミング&AI PC:売上高29億ドル(前年同期比16%増)
  • プロフェッショナル・ビジュアライゼーション:売上高4億5400万ドル(前年同期比20%増)
  • オートモーティブ&ロボティクス:売上高3億4600万ドル(前年同期比37%増)

AIブームが始まってから約2年が経過し、データセンター事業の売上高は前期(2024年2〜4月)の驚異的な伸び(前年同期比427%増)には及ばないものの、依然として154%増を記録した。この決算結果は、AI向け半導体に対する需要が引き続き強いことを示している。

それにもかかわらずNVIDIA株が一時下落した背景には、投資家心理の変化がある。 Google、Meta、MicrosoftなどAI大手は、過小投資で競争に敗れるリスクを恐れ、過剰を厭わない設備投資を続けてきた。そうした膨大な投資により、市場成長の「期待」からAI関連企業の株価が上昇してきた。しかし、その投資規模に収益や需要の伸びが伴わない状況が続いており、投資の正当性を裏付ける「成果」を投資家は求め始めている。

AI企業は依然として積極的な投資を継続する方針を示しており、それがNVIDIAの成長を支えている。新アーキテクチャ「Blackwell」への期待も大きい。しかし、投資家の間では過剰投資のリスクに対する警戒感が高まっており、これが市場の冷淡な反応につながっている。

2025年度第3四半期(2024年8〜10月)のガイダンスは売上高325億ドル(±2%)。アナリストの予想の平均は317億ドルだった。