Googleの新型スマートフォン「Pixel 9」「Pixel 9 Pro XL」が8月22日に発売されました。本稿では、メーカーからお借りした端末(製品版同等)を用いて、ベンチマークテストの結果をお伝えします。

  • 発売されたばかりの「Pixel 9」「Pixel 9 Pro XL」でベンチマークテストを行った

    発売されたばかりの「Pixel 9」「Pixel 9 Pro XL」でベンチマークテストを行った

なお、外観や機能など端末そのものの評価については、別途『Google新スマホ「Pixel 9」「Pixel 9 Pro XL」ファーストインプレッション』を掲載しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

SoCは「Tensor G4」、メモリは12GB/16GB

はじめにスペックを確認しておくと、まずSoCは各機種共通でGoogle独自の「Tensor G4」を搭載しています。「Device info HW」などのツールで確認できた範囲では、CPU構成はCortex-X4@3.10GHz×1+Cortex-A720@2.60GHz×3+Cortex-A520@1.95GHz×4、GPUはMali-G715のようです。

  • CPU/GPUの仕様(Device info HWで確認)

    CPU/GPUの仕様(Device info HWで確認)

メモリ容量はベースモデルのPixel 9が12GB、Pixel 9 Pro XLは16GB(Pixel 9 ProやPixel 9 Pro Foldも同じく16GB)。ストレージ容量にはそれぞれバリエーションがありますが、今回使用した端末はどちらも128GBモデル。メモリ規格はLPDDR5、ストレージ規格はUFS 3.1です。

Geekbench 6のベンチマーク結果

  • Geekbench 6のベンチマーク結果(Pixel 9)

    Geekbench 6のベンチマーク結果(Pixel 9)

  • Geekbench 6のベンチマーク結果(Pixel 9 Pro XL)

    Geekbench 6のベンチマーク結果(Pixel 9 Pro XL)

Geekbench 6のベンチマークスコアは、Pixel 9がCPUシングルコア1,693点/マルチコア4,252点/GPU6,464点で、Pixel 9 Pro XLがCPUシングルコア1,948点/マルチコア4,703点/GPU6,470点でした。

  • CPUシングルコア/マルチコアモードの他機種とのスコア比較(Pixel 9 Pro XL)

    CPUシングルコア/マルチコアモードの他機種とのスコア比較(Pixel 9 Pro XL)

アプリ内で提供されている主要機種との比較機能を参考にすると、CPU性能としてはシングルコア/マルチコアともにQualcomm Snapdragon 8 Gen 3を搭載する他社の現行ハイエンドスマートフォンには及ばず、Snapdragon 8 Gen 2搭載機種と同程度のスコアです。

3DMarkのベンチマーク結果

  • 3DMarkのベンチマーク結果(Pixel 9)

    3DMarkのベンチマーク結果(Pixel 9)

  • 3DMarkのベンチマーク結果(Pixel 9 Pro XL)

    3DMarkのベンチマーク結果(Pixel 9 Pro XL)

グラフィック性能を計測する3DMarkのベンチマークスコアは、Pixel 9が「Wild Life Extreme」モード2,570点/「Steel Nomad Light」モード1,078点で、Pixel 9 Pro XLがWild Life Extreme 2,579点/Steel Nomad Light 1,027点でした。

テストの性質として、実行に必要なメモリ容量を上回っていればそれ以上の差が影響することはなく、処理解像度も固定されていて実機の画面解像度の違いによって負荷が変わらないようになっているので、当然ながら同等の結果となりました。

先に挙げたGeekbench 6によるCPUベンチマークではSnapdragon 8 Gen 2と同程度でしたが、3DMark(Wild Life Extreme)によるGPUベンチマークではSnapdragon 8+ Gen 1程度のスコアに留まります。

AnTuTu Benchmarkのベンチマーク結果

  • AnTuTu Benchmarkのベンチマーク結果(Pixel 9/Pixel 9 Pro XL)

    AnTuTu Benchmarkのベンチマーク結果(Pixel 9/Pixel 9 Pro XL)

AnTuTu Benchmarkのベンチマークスコアは、Pixel 9が929,625点、Pixel 9 Pro XLが997,882点でした。

この数値は、実は先代のPixel 8シリーズ(Tensor G3)とほぼ変わらないスコアです。参考までに、Snapdragon 8 Gen 2搭載機種であれば150万点程度、Snapdragon 8 Gen 3搭載機種であれば200万点程度になります。

先に挙げた2つのアプリよりも総合的な評価項目かつ実行時間も長いテストなので、ここまでとは違った傾向が見えました。個々の項目で瞬発力を試した印象よりも総合的なテストでは低めのスコアに留まる背景として、そもそもPixelシリーズはハイエンド志向ではないということが挙げられます。

今作に限らずPixelはハイエンドを目指しているわけではない

今回は「目安として知っておきたい人はいるだろう」とあえてベンチマークにフォーカスしましたが、今作に限らずPixelシリーズの設計思想としては普段使いのためのプレミアムスマートフォンであって、ピークパワーや連続的な高負荷時のパフォーマンス維持はさほど重視されていません。

Tensor G4の設計もCPU/GPUの処理性能の向上よりは「Gemini」をはじめとしたAI機能の数々を快適に実行するためのNPU周りの強化に重きを置いていますし、温度管理の面でもPixelシリーズは比較的低めのCPU/GPU温度で早々にクロックを落とし発熱を抑え込むことで携帯端末としての快適性を重視する傾向にあります。

ここ数年で価格的にはどうしても他社のフラッグシップモデルと比較検討されるクラスに上がってきているので難しいところですが、あくまで性能的な意味でハイエンド志向のスマートフォンではないですし、ゲームパフォーマンスなどを求めるなら同価格帯の他機種には及ばないと認識しておいたほうが無難かと思われます。