静岡県熱海市の「MOA 美術館」にて『ポケモン×工芸展 ―美とわざの大発見―』が開幕した。会場には、伝統柄「工字繋ぎ」の着物を身につけたピカチュウもお祝いに駆けつけた。
『ポケモン×工芸展』は、2023年3月から6月まで、国立工芸館(石川県)で開催されたポケモンと工芸のコラボレーション企画展。「本格的な工芸とポケモンのコラボレーション」として話題を呼び、同館で過去最多の約9万5,000人が訪れた。2024年からは国内各地を巡回することが決定しており、今回「MOA 美術館」にて、進化した形で公開された。
人間国宝から若手作家まで、20名が金工、漆芸、染織、陶芸など多様な技法とスタイルで制作した約80点に加え、「MOA 美術館」では、参加作家のうち2名(城間栄市氏、葉山有樹氏)が新作を発表。8月3日には「トークイベント」でも登壇する予定だ。
開幕にあたり、オープニングセッションでは、「MOA 美術館」館長の内田篤呉氏が「ポケモンは生きている。生きているポケモンをいかに表現するかが重要で、作家の皆さんがとても真剣に取り組み、作品を制作している。また、当館展示室の建築意匠は杉本博司さんが手がけており、まさに現代アート。この現代アートの空間にポケモンたちが鎮座していて、MOA 美術館らしい特色あるポケモン×工芸展になった」と挨拶した。
本展を監修した国立工芸館館長の唐澤昌宏氏は「会場では、子どもたちがポケモンの説明をし、大人が工芸について語る。そんな会話が弾む場面があちらこちらで見られると思う。また、ポケモンと工芸の出会いは、工芸ならではの表現やつくり手のこだわりを、ポケモンを通してわかりやすく見せてくれている。工芸の新しい可能性とともに、ポケモン世界の新たな一面も同時に楽しんでいただきたい」と述べた。
また、特別協力を行ったポケモン 常務執行役員の田中雅美氏は「20名の作家の中にはポケモンとともに育った方もいるが、半数以上は生まれて初めてポケモンを体験される方。皆さん、ポケモンというテーマに『真剣勝負』を挑み、過去のご自身を超える新たなチャレンジをしてくださった」と語った。
【出品作家】
池田晃将、池本一三、今井完眞、植葉香澄、桂盛仁、桑田卓郎、小宮康義、城間栄市、須藤玲子、田口義明、田中信行、坪島悠貴、新實広記、林茂樹、葉山有樹、福田亨、桝本佳子、水橋さおり、満田晴穂、吉田泰一郎(五十音順、敬称略)