タテ型洗濯機の人気シリーズのひとつに、日立グローバルライフソリューションズの「ビートウォッシュ」シリーズがあります。じつは、この人気シリーズは今年で発売20周年。そんなビートウォッシュに今年も新モデルが発表されました。

ビートウォッシュといえば洗浄力の高さで評価の高いシリーズですが、今年は5つの新モデルに「ナイアガラ2段シャワー」が搭載されました。そもそも2段シャワーとは何で、そのようなメリットがあるのか? プレス向け体験会で実機をチェックしてきました。

  • 写真は最上位モデルで衣類容量12kgのBW-X120K(写真左)と衣類容量10kgのBW-X100K(写真右)。いずれも液体洗剤、柔軟剤自動投入機能搭載モデルです。市場推定価格はBW-X120Kが26万円前後、BW-X100Kが20万円前後

  • じつは20周年の節目にビートウォッシュのロゴも変わりました。新ロゴは「水の勢い」がわかるような形を目指したそう

ビートウォッシュの洗浄力の高さと「衣類に優しい」理由

一般的なタテ型洗濯機は、洗濯槽の底に凹凸のある「パルセータ―」を配置。このパルセータ―が回転することで水をかき回し、衣類同士をこすりあわせて「もみ洗い」します。

そんななか、日立のビートウォッシュシリーズは、パルセータ―で衣類を上下に振動させながら動かす方式を採用。衣類を下から押し上げて「押し洗い」したり、上から叩き落す動きで「たたき洗い」、衣類を上下させることで「もみ洗い」する、といった複数の洗い方ができるのです。

  • 現在のビートウォッシュシリーズに搭載されているパルセータ―「ビートウィングプラス」

  • 従来のパルセーター「ビートウィングX」と比べ、ビートウィングプラスはパルセーター自体の高低差がなだらかになったことで、衣類をよりやさしく洗えるようになりました

  • もみ洗いによる強い摩擦を使った洗浄だけではないため、衣類傷みが少ないのもメリット。写真は上がビートウィングプラス未搭載の洗濯機、下がビートウィングプラス使用の洗濯機で洗ったセーター。上のセーターのほうが圧倒的に毛玉の量が多いのがわかります

このほか、ビートウォッシュシリーズは少ない水で高濃度の洗剤液を衣類に浸透させ、さらに大流量の循環水を勢いよく落とす「ナイアガラビート洗浄」機能も搭載。洗濯工程の最初に素早く高濃度洗剤液を衣類に浸透させることで、素早く繊維の奥の汚れまで落とします。

衣類同士を揉み合わせる摩擦力だけに洗浄を頼らないこの機能も、ビートウォッシュの衣類傷みが少ない理由のひとつです。

  • 会場では水(写真左)、通常の洗剤液(写真中央)、高濃度洗剤液(写真右)に毛糸をうかべるというデモンストレーションも行われました。高濃度洗浄液は15秒ほどで洗剤液が浸透して毛糸が沈みますが、通常の洗剤液は倍近くの時間がかかりました。水道水は10分経っても毛糸は浮かんだまま

  • 素早くしっかり洗剤液が浸透するので、洗剤の力を最大限に発揮できます

大流量のナイアガラシャワーが2段シャワーに! そのメリットは?

さらに、2024年モデルでは、上位5つのモデルが大流量の循環水「ナイアガラシャワー」が2段になった「ナイアガラ2段シャワー」に対応しました。

従来は洗濯時に、洗濯槽の上から循環水を滝のように落として洗浄力を強化させていましたが、「ナイアガラ2段シャワー」では洗濯槽下段からも水を噴出させられます。

この機能が力を発揮するのが「高濃度洗剤液の浸透」時。いままでは「洗濯の最初に高濃度洗剤液を衣類に浸透させる」ため、水を少しためた状態でパルセータ―を動かして洗剤液をかくはんしていました。

しかし、ナイアガラ2段シャワーなら、少ない水量でも下段シャワーで衣類に高濃度洗剤を勢いよく吹き付け、衣類の洗いムラをより抑えられるのです。

  • 洗濯槽内の水を勢いよく落とす一般的なナイアガラシャワー

  • 新しく追加された「ナイアガラ2段シャワー」の下段シャワー。写真の最上位モデルBW-X120Kのみ、下段シャワーを2か所に配置。他モデルはひとつだけです

スタンダードモデルはより使いやすいデザインに

今回、最上位モデルのBW-X120Kは「ナイアガラ2段シャワー」という新機能を搭載しましたが、じつは最上位モデルの見た目は昨年モデルとあまり変わっていません。

一方、大きく変化があったのがBW-X100K、BW-X90K、BW-V100K、BW-V80Kの下位~中位モデル。昨年まで、最上位モデルのみフタに透明窓を搭載し、それ以外のモデルは中が見えない白いフタを採用していました。

新製品は全5モデルすべてフタに透明窓を配置。運転中も衣類の様子が確認できるようになっています。また、洗濯槽の深さも昨年モデルより浅くなり、衣類が取り出しやすくなりました。

  • 写真は液体洗剤、柔軟剤自動投入機能搭載モデルで洗濯容量9kgのBW-X90K(写真左)。洗剤自動投入機能を搭載せず洗濯容量10kgのBW-V100K(写真中央)と洗濯容量8kgのBW-V80K(写真右)。フタに透明窓があることがわかります。市場推定価格はBW-X90Kが19万円前後、BW-V100Kが18万円前後、BW-V80Kが16万円前後

  • 洗濯槽が浅くなることで、衣類の取り出しがしやすくなっています

  • 液体洗剤・柔軟剤自動投入用のタンクも昨年モデルより大きくなっています。液体洗剤タンクは400mlから430ml、柔軟剤タンクは500mlから530mlになりました

このほか、従来は洗濯槽に2カ所配置されていた糸くずフィルターが1つだけになりました(※洗濯容量12kgのBW-X120Kのみ2カ所に配置)。フィルターサイズを2倍にしたことで糸くずの捕集力はそのままに、メンテナンス性がアップしています。

  • 洗濯容量10kgモデルの新糸くずフィルター(写真左)と昨年モデルの糸くずフィルター(写真右)。昨年前は小さなフィルターが2か所についていました

  • 手動用洗剤投入口は、従来モデルではフタ下に柔軟剤投入口と洗濯槽の上部分の2か所に洗剤投入口がありました

  • 新モデルでは洗剤・柔軟剤投入口が一体化し、運用しやすくなっています

独自の洗濯方式を取り入れた汚れ落ちの良さと布傷みの少なさ。洗濯槽が浅く衣類が取り出しやすいボディデザインなど、ビートウォッシュシリーズは従来から人気のあるタテ型洗濯機です。

今年は「ナイアガラ2段シャワー」の導入により洗いムラが低減。さらに、洗剤タンクの大型化や、糸くずフィルターの改良などでメンテナンス性もアップしました。機能性の高い洗濯機というとドラム式に多い印象ですが、高機能なタテ型を探しているなら、一度チェックしてほしい製品です。