ラスベガスで開催されたCES 2024には自動車関連の展示も多く見られました。XPENG AEROHTは道路だけではなく空を飛べる自動車「XPENG eVTOL Flying Car」の実車を展示、プロペラ動作のデモを披露しました。
eVTOL Flying Carは一般的な自動車としては全長が長い形になっています。これは空を飛ぶためのプロペラを屋根の中に収納しているからです。現在はまだ開発中のモデルのため車体の大きさを含む一切の情報は未定ですが、同社の本社のある中国では試作機を使って実際に空を飛ぶテストが行われているそうです。
CESの同社ブースではベールに包まれたXPENG eVTOL Flying Carを披露するや、すぐに屋根の上側が開いてプロペラが飛び出し、ゆっくりと前後四方向に開いていくデモが行われました。その場で飛行はしないものの、合計8組取り付けられた大型のプロペラがあればこれくらいの車体の自動車を空中に飛ばすことはできそうです。
eVTOLはヘリコプター同様に垂直に飛び上がり、自在に空中を飛ぶことができます。eVTOLという名前は電気で動くVTOLという意味で、この自動車は陸上も空中も電気モーターを使って走行します。道路を走行中、目の前の山道をくねくねと走らず一気に空を飛んで山を越えたり、あるいは都市部の道路が渋滞しているとき、その場で飛び上がれば渋滞を避けて目的地にすぐに到達することができるわけです。
空飛ぶ自動車のアイディアはそれこそ1世紀以上前の小説や映画にも出てきました。XPENG AEROHTはここ数年、1〜2名程度が搭乗できる小型の飛行用ドローンやeVTOLの開発を進めてきました。最近では2022年にドバイで2名搭乗できるeVTOL「XPENG X2」のフライトテストも成功させています。しかしこのXPENG X2はタイヤの無い、空を飛ぶだけの小型飛行機でした。
2023年には地上を走る自動車にeVTOLを搭載できる分離型モデル「Modular Flying Car」を発表しました。こちらは2025年に製品化されることがCES 2024でアナウンスされました。目的地まではeVTOLで飛び、あとから自動車部分が自動運転で追いかけてくる、という使い方ができるのです。自動車にはeVTOLを充電するためのバッテリーが搭載されているので、遠方地にでかけても常に飛行モジュール部分を充電することができるわけです。
プロペラが無ければ高速で走れるスポーツカーのようなeVTOL Flying Car、乗車定員も2名で実際に自動車部分だけならすぐにでも実用化されそうなデザインをしています。本体が長い分だけ余計にバッテリーも搭載できるでしょうから、地上だけではなく空中でもある程度長い距離を走行・飛行できるでしょうね。このように空飛ぶ車は道路がある場所は自動車として走れるため、空を飛ぶだけのドローンやeVTOLより総移動距離に対する燃費は少なく済みます。
eVTOL Flying Carは現時点で最も商用化に近づいた空飛ぶ自動車です。実際にどれくらいの時間・距離を飛行できるのか、本体の価格はどれくらいなのか、いつ頃市販されるのか、などなどブースでは担当者に質問する来場者が絶えませんでした。人類にとって夢とも言える自動車だけに、今後の動向が気になります。