米Mozillaは12月20日(現地時間)、Webブラウザ Firefoxの新バージョンとなる「Firefox 121」をリリースした。Firefox 121は、Firefox 120から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 120では、2023年11月30日にマイナーバージョンアップの120.0.1がリリースされている。120.0.1では、以下の修正が行われた。
- 継続的な起動速度の低下を引き起こしていた問題の修正
- Google MapなどのWebサイトでCPU使用率が100%になる問題の修正
- ハードウェアアクセラレーションが有効になっているときにYouTubeビデオに緑色の画面が表示される問題を修正
- 全画面ビデオを表示しているときにステータスバーが表示されたままになる問題の修正
- ページサイズが4KB以外の一部のaarch64システムで、Linuxユーザーに影響を与える起動時のクラッシュする問題を修正
セキュリティアップデートは行われなかった。今回は、120.0.1からのアップデートとなる。
Firefox 121のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 121は、図2のようになる。
新規に、Firefox 121をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 121の新機能
新機能であるが、以下のとおりである。
- AV1ビデオコーデックのハードウェアデコードサポートを有効にするために、Microsoft AV1ビデオ拡張機能をインストールがされる。インストールされていない場合はabout:supportからインストールするように求められる。
- macOS版:音声コントロールコマンドをサポート。
- Linux版:利用可能な環境では、XWaylandではなくWaylandコンポジターをデフォルトで使用するように。結果、タッチパッドとタッチスクリーンのジェスチャ、スワイプからナビゲーション、モニターごとのDPI設定、グラフィックパフォーマンスの向上などが期待される。
Waylandプロトコルの制限により、ピクチャインピクチャウィンドウでは追加のユーザー操作(通常はウィンドウを右クリック)またはシェル/デスクトップ環境の調整が必要になる点に注意してほしい。 - リンクにつねに下線を付けるよう設定可能に。このオプションは、Firefoxのバーガーメニューの[設定]→[ブラウズ]セクションで有効にできる。
- PDFビューアにおいて、PDFに追加された図面、テキスト、画像を簡単に削除できるフローティングボタンが追加された。
また、開発系では、
- :has() 疑似クラスがサポート
が追加された。
これは、指定した要素がある場合にのみスタイルを適用できる新機能である。CSSの記述が簡略化することができ、Web開発では、期待も大きい。
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で18件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が5件、4段階で上から3番目の「Moderate」が8件、4段階で上から4番目の「Low」が5件がとなっている。
「High」では、
- Mesa VMドライバを使用した際に、WebGLのDrawElementsInstancedメソッドでのヒープ バッファーオーバーフロー
- NSSでの「Minerva」攻撃への対応
- EncryptingOutputStream内の初期化されていないデータが漏洩する危険性
- Firefox 121、Firefox ESR 115.6、Thunderbird 115.6で修正されたメモリ安全性の問題
- Firefox 121で修正されたメモリ安全性の問題
などが対応された。すみやかなアップデートをすべきであろう。