家族や友人と、みんなで一緒に調理と食事を楽しむのは素敵な時間です。そんなシーンで活躍するのはテーブル調理家電。今回、象印マホービンが開催したテーブル調理家電のプレスイベントに参加してきました。

体験した製品は、象印マホービンがイチ押しする2023年のテーブル調理家電、「デイリーコンパクトプレート(EJ-DE30)」と「マルチロースター(EF-WA30)」です。ホットプレートとロースター、どちらも昔からある家電ですが、最新の製品は新製品はどんなものなのか、実際に体験してきました。2製品ともに発売済み。実勢価格は、デイリーコンパクトプレートが20,000円前後、マルチロースターが16,000円前後です。

  • デイリーコンパクトプレート(写真左)とマルチロースター(写真右)。いずれもマットブラックの落ち着いたデザイン。筆者はあえて社名をプリントせず、「象」のワンポイントのみという点がお気に入り

「調理器具」として普段使いしてほしいホットプレート

冒頭で「テーブル調理家電」と書きましたが、デイリーコンパクトプレートのコンセプトは「普段使い」です。ホットプレートは、多くの家庭で普段は片付けられている家電ですよね。たまの焼き肉やお好み焼き、たこ焼き、ホットケーキといった場面で登場することがほとんどでしょう。

そもそも、最近のホットプレートは大型化しており、5~6人タイプの製品は出しっぱなしにする場所がないという現実も。象印のデイリーコンパクトプレートは、本体サイズをコンパクトして付属品を工夫することで、普段使いの鍋やフライパンのように使えることを目指しています。日常はキッチンで普段使い、たまのイベントでは食卓に持っていく――というスタイルを想定しているのです。

  • 一見するとホットプレートとは思えない、鋳物鍋のような外観も魅力的。写真の状態で3枚の付属プレートがすべて格納されています。プレート3枚重ね時の本体サイズは幅35.5×奥行き26×高さ20.5cm、本体の重さは6kg

  • 本体に「深鍋プレート」をセット。手前は左から専用フタ、「たこ焼きプレート」「平面プレート」です。平面プレートはフライパンのように、深鍋は鍋として普段使いできます

  • 専用のフタは3種類すべてのプレートで使えます

注目したい付属品は専用のフタ。フタは少し重さのあるアルミダイキャスト製です。裏面はミゾのあるリブ構造として、食材から出た水蒸気を効率的に雫(しずく)へと戻します。いわゆる「無水調理」が可能なわけです。

今回の体験会では、水を使わずに無水調理した肉じゃがを試食しました。煮物を作るときも火を使わないので安全ですし、保温も可能。コンロの口数が足りないという家庭でも活躍しそうです。

  • 約6人前の肉じゃがを、5.5cmの深さがある深鍋プレートで調理。水は一切使っていませんが、意外と汁気がありますね

  • マイナビニュース +Digitalの林編集長が肉じゃがを試食。「野菜の水分だけで煮込んでいるからか、塩味は薄いのに旨みが強い! ジャガイモも柔らかくホクホクでした」(林)

たこ焼きの調理もできました。たこ焼き体験で驚いたのは、熱ムラの少なさ。ホットプレートでたこ焼きを作ると、たいていの場合「よく焼けるエリア」と「焼きが甘いエリア」が出るもの。焼いている途中でたこ焼きを1つずつ、焼く場所を移動しながら、均一に火が通るようにする必要があります(こんな面倒なことはせず、焼けたところから食べていったりするものですが……)。

一方のデイリーコンパクトプレートは、プレートの四隅までヒーターが届く波型3往復ヒーターを採用しているためか、並んだたこ焼きの端から端までほぼ均一な焼き色でした。

  • 体験会で焼いたたこ焼き。全体の焼き色が均一!

使っていて感心したのはプレートの形状です。深鍋プレートはフチが端まで飛び出ており、本体とプレートの隙間に汁などが入らない構造になっていました。

卓上で使うことが多いであろうたこ焼きプレートと平面プレートは、本体より一回り小さく、プレートのふちに直接手が触れにくい作り。このあたりは長年ホットプレートに関わっている象印ならではの気遣いですね。

  • 深鍋プレートは本体より広いフチなのに対し、たこ焼きプレートと平面プレートは全体が本体にスッポリ入ります

  • 個人的にうれしかった「本体ガード」を取り外せる仕組み。これはかなり洗いやすそう!

分解できてメンテナンスしやすい、サンマを3尾まるごと焼けるマルチロースター

さてもう1台は、魚焼き器として購入する家庭も多い電気式ロースター。象印のマルチロースターは、サンマを3尾、一度に焼けるサイズです。

魚を焼くことを前提にしているためか、本体上部にプラチナ触媒フィルターを配置。フィルターが煙やニオイ成分を吸着し、熱を加えることで水と二酸化炭素に分解します。汚れが分解されるので、フィルター交換は必要ありません。消費電力は1,100Wと高火力。本体横のタイマーを回して設定した時間だけ加熱を続けます。火力などの調整はナシ。機能的にはとてもシンプルです。

  • アウトドアギアのような雰囲気もあるマルチロースター。本体サイズは幅49.5×奥行き27×高さ19.5cm、重さは4.6kg

  • フタを開いたところ。フタ部分中央のメッシュ部分がフィルター格納部。このフィルターによって、煙やニオイ成分を約90%カットできるそうです

  • 本体横にあるダイヤル式タイマー。シンプルで迷いようがない操作ですね

ロースターは過加熱を防ぐため、受け皿に水を入れて調理しますが、マルチロースターは水の上にアルミ製の反射板を浮かべることが特徴的。この反射板によって、食材の裏面にもこんがりと焼き色が付くというワケ。

体験会では鶏モモ肉のグリルを調理しました。余熱したマルチロースターで塩胡椒をしたモモ肉を焼き(12~14分間)、砂糖しょうゆを塗って焼き目を付ける(約1分間)というシンプルな調理です。

  • 本体下部に水を入れて、その上にアルミ反射板を浮かべて調理。体験会では鶏モモ肉を2枚同時に焼きました。皮目を下にすることで余分な脂も落とせます

  • ひっくり返して皮に焼き色を付けたチキングリル。コンガリとした焼き色が食欲をそそります。食べてみると中はジューシー、焼き目が付いた皮はパリッと。もう少し焼き時間を長くすると、皮全体がカリッと仕上がりそう

象印によると、ロースターの購入理由の多くが「自宅の(コンロ下などにある)ビルトイン魚焼き器は掃除しにくい」こと。電気式ロースターなら、長く使って汚れが気になってきたら、買い換えられる点がいいんだとか。

こうした声を受けてか、マルチロースターはかなり掃除しやすい構造でした。まず、本体はフタと受け皿、ヒーターのある本体の土台部を完全に分離できます。本体の土台部以外は水洗い可能。取り外せるのは「焼き網」だけという製品も多いなかで、これはうれしい構造です。

  • 本体を分解したところ。フタはレバーを押しながら持ち上げるだけ。受け皿も手前に引っ張るだけで外れます。ビスやネジなどはなく、簡単に分解できるのも魅力的ですね

  • チキンを焼いたあとのマルチロースター本体土台。ヒーターにところどころチキンの欠片や脂か調味料のような汚れが付着しています。ここまで分解できれば掃除も簡単です

直火焼きができるロースターは魚を焼くだけでなく、焼き鶏、魚介焼き、焼き野菜、ピザといった多彩な料理に使える便利な調理器具。とはいえ、掃除が面倒で使う機会が減っていった人も多かったのではないでしょうか。掃除もしやすいマルチロースターなら、日々の出番が増えるかもしれません。