アイロボットジャパンは9月12日、同社初となる空気清浄機「Klaara p7 Pro」(以下、クラーラ)を発表しました。アイロボットといえば高性能なロボット掃除機「ルンバ」で知られていますが、クラーラもこだわりのある製品です。
そのぶん、直販価格が169,800円と空気清浄機としては高価格。クラーラのこだわりとはなんなのか、メディア向けの体験会で一足早く実機をチェックしてきました。クラーラは10月20日から世界に先駆けて日本にて先行販売の予定です。
約4.5kgもあるキューブデザインの大型高性能フィルター
クラーラは適用床面積が約40畳の空気清浄機。本体の構造はシンプルです。本体の下側にある4方向の吸気口から空気を取り込み、フィルターで空気をろ過して本体上面から送り出します。
実機に触れてみて驚いたのは、本体に収納するメインフィルターの大きさ。一般的なろ過式空気清浄機のフィルターは、多くが厚めの「板」のような形状です。ところが、クラーラのフィルターは一辺が30cmほどある箱のような立方体。
ブロックのような大きなフィルターは内部で3層になっており、吸気口に近い一番下にホコリなど大きめのゴミを捕集するプレフィルター、中央にはニオイや有害なVOC(揮発性有機化合物)を捕集するカーボンフィルター、最後にウイルスレベルの超微粒ゴミを捕集するHEPAフィルターを組み込んでいます。
空気清浄機の話題で耳にする「HEPAフィルター」ですが、簡単にいえば「0.3μmの粒子を99.97%以上捕集」するフィルターのこと(JIS規格において)。一方、クラーラのHEPAフィルターは0.1μmの微粒子も99.98%を捕集する性能があります。
ブロック状の大きな形状からわかるように、HEPAフィルターのサイズもカーボンフィルターのカーボン含有量も、一般的な家庭用空気清浄機より大きくなっています。フィルターを贅沢に使うことによって、時間がたっても効率的な空気清浄ができるそうです。
多くの空気清浄機は、一定の運転時間が経過すると一律にフィルター交換をうながします。このため「フィルターがそこまで汚れていないのにフィルター交換ランプが点灯する」ことも多々あるものです。対してクラーラは、部屋の空気質をモニタリング(毎秒10回)する機能を搭載し、部屋の空気の汚れ方や運転データを蓄積。これらのデータから「フィルターがどれくらい汚れているか」を判断します。
この情報をもとに、クラーラがフィルター交換タイミングをお知らせ。専用フィルターは決して安いものではないので、フィルターをきちんと使い切れる仕組みは魅力的です。フィルター交換の目安は1年ごと(環境や使用条件によって左右されます)、価格は29,800円。高性能でサイズが大きいからか、価格もビッグですね。
ところで、いくらフィルターが高性能でも、空気がフィルターを通過しなければ汚れは捕集できません。
クラーラの開発でアドバイザーを務めたアンソニー・ロウ博士は「一般的な空気清浄機は、製品のパーツのつなぎ目や隙間などから汚れた空気が漏れてフィルターを通過しないことがある」と、空気清浄機の問題点について指摘。この問題を受けて、クラーラは本体につなぎ目をつくらない「クローズド・キャプチャ技術」を採用したとのこと。取り込んだ空気はすべてフィルターを通るという単純ながら重要な構造になっています。
もちろんIoT機能搭載、ルンバとの連携機能も
ルンバを世に送り出したアイロボットの製品だけに、もちろんクラーラもIoTに対応。iRobot Homeアプリを使って、クラーラでセンシングした部屋の空気質をチェックしたり、クラーラを遠隔操作したりできます。
アイロボットらしい機能として「リンク清掃」があります。クラーラを設置した部屋をロボット掃除機のルンバが清掃すると、クラーラが自動的に大風量で空気清浄するという機能。掃除中は掃除機がどうしてもチリを舞い上げてしまいますが、これらの微粒子をクラーラが効率的に捕集します。このほか、アプリを使えばスマートフォンの位置情報と連携し、人がいないときに運転モードを自動的に変更するといった便利な動作も実装しています。
ルンバは多機能でスマートなイメージがある家電ですが、今回のクラーラは比較的シンプル。そのぶんフィルターと本体構造にこだわることで、空気清浄機の本質「空気清浄化性能」を磨いている印象を受けました。正直、最初にクラーラを見たときは「大きい」と感じましたが、実際にフィルターを見たら本体の大きさも納得。性能を重視して日本のコンパクト志向に寄せていない点に、アイロボットの「とにかく空気をきれいにする」という製品設計を感じました。