キヤノンが発表した新コンセプトのVlogカメラ「PowerShot V10」、ふだんスマホで自撮りやVlog撮影を楽しんでいる若者にどうやったら興味を持ってもらえるのか、どのようなポイントを訴求すればよいのか、どういう販路で売り出すのがよいか――。プロの担当者でも頭を悩ませるZ世代向けのマーケティングに、現役の中学生や高校生が挑戦する産学連携プロジェクト「探究ラボ キヤノン“PowerShot V10”プロジェクト」が始まりました。
若者のアイデアで若者にカメラのよさを知ってもらいたい
プロジェクトは、6月下旬に発売するキヤノンのVlogカメラ「PowerShot V10」(予想実売価格は6万円前後)をZ世代の若者に売り込むためのマーケティングプランを、選抜された首都圏4校の中学生や高校生がチームを組んで考え、そのマーケティングプランを体現するVlog作品をPowerShot V10で撮影して制作する、という内容です。
今回のプロジェクトを開始した背景には、「若い人にカメラを使ってもらいたい、カメラのよさを知ってもらいたい」という思いや、縮小を続けるカメラ市場への危機感があります。写真を撮る機会は以前よりも大幅に増えていますが、若年層の撮影体験がカメラではなくスマホに移行し、カメラの購買につながっていない状況が課題となっています。若者の知恵を借りて若者にアピールしたい、という狙いがあります。
プロジェクトに参加するのは、逗子開成中学校・高等学校(神奈川県逗子市)、千葉県立東葛飾高等学校(千葉県柏市)、田園調布学園中等部・高等部(東京都世田谷区)、富士見中学校高等学校(東京都練馬区)の4校の約50名。課外時間に探究活動を行う学生を支援するCURIO SCHOOLが協力します。
5月27日に田園調布学園で開かれたプロジェクトのキックオフでは、プロジェクトの説明がなされたあと、各チームにPowerShot V10が1台貸与されました。生徒たちは、さっそくカメラを手にして自撮りをしたり、可動式スタンドの使い勝手を試したりするなど、興味津々の様子でした。
20分ほどカメラを試した生徒たちからは、「デザインやカラーが気に入った。若者は赤やピンクなどの派手なカラーは好まない」「撮っていることを周りに主張しすぎない小ささやデザインがいい」「やっぱり軽いのは正義」「全身を撮りたい時にスタンドが便利に活躍しそう」といった第一印象が聞かれました。早くも、同世代に刺さるポイントをいろいろと見つけたようです。
プロジェクトの期間は約2カ月で、7月22日に品川のキヤノンマーケティングジャパン本社に4校の生徒が再び集まり、成果を発表します。各チームはどのような内容や見せ方でZ世代に訴求するのか、注目したいと思います。