パナソニック ハウジングソリューションズは、東北・近畿・首都圏・九州の4エリアにて業界向けの展示会「HOUSING SOLUTIONS FAIR 2023」を開催。会場では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や、V2H(ビークル トゥ ホーム)などの先進技術、そしてペット向けを含む建材、生活者の暮らしの変化に合わせた空間の展示、技術などが紹介されました。ZEHを中心に、パナソニックセンター東京の展示を紹介します。

  • パナソニックはグループ全体としても、住宅設備だけでなくEV関連商品も含めたトータルソリューションを提案

注目を集めていたのはZEHとZ2H

今回のフェアでは、「ZEH」「パブリック」「Life Style Fit」という3つのソリューション空間を用意。注目を集めていたのは「ZEH」のコーナーです。

ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスのこと。簡単にいうと、消費するエネルギーをできるだけ減らしつつ、太陽光発電などによって創り出すエネルギー量が、消費エネルギーを上回るようにした住まいを指します。「2050年カーボンニュートラル」目標を達成するために、政府は「2030年以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」としています。

パナソニックのZEHソリューションで中核をなすのは、コントロール機器「AiSEG2(アイセグ2)」です。住宅内の司令塔として、照明、エアコン、太陽光発電といった複数の住宅設備を連携させて、電力を最適に制御します。AiSEG2は2023年夏のバージョンアップによって住宅用V2H蓄電システム「eneplat」と連携を図ります。

  • AiSEG2は、天気と連動した機器のコントロールも可能。例えば、天気が良いときは夜間の湯沸かしを控え、太陽光で作った電気で湯沸かし(エコキュート)。また、気象警報が発生されると、蓄電池や電気自動車などにも充電を始めます

2月21日から受注を開始した「eneplat」は、電気自動車と蓄電池への同時充放電を可能にした蓄電システム。6.0kWhパワーステーション、蓄電池用コンバーター、V2Hスタンド、蓄電池ユニットなどを組み合わせています。

太陽光で作った電気を蓄電池とEVへと同時に充電できるほか、EVと蓄電池を同時に使用することも可能です。パナソニックによると、「AiSEG2とV2Hの導入によって、自家消費効果が約50%から約90%へと大きく向上します。CO2排出量としては年間で1.0tの削減に貢献します」とのこと。作った電気をムダなく使えるため、電力会社から購入する電気も少なくなりそう(つまり電気代の節約効果も)。蓄電池とV2Hの充放電比率はユーザーが設定できます。

eneplatの場合は、電気自動車、V2H、蓄電池にいつでも電気をためているため、万が一の災害が起こったときも自宅で電気が使えます。200V対応なので、エアコンやIHクッキングヒーターを動かせるのは安心ですね。

  • eneplatの蓄電用コンバーターと蓄電池ユニット

  • 2023年1月に発売した太陽光発電モジュール。コンパクトな設計のため、小さな屋根にも搭載しやすくなりました

  • V2Hスタンドは追加できます

1台のエアコンで全館空調できる「with air」

省エネな暮らしに向けては、空調設備や換気システムも重要なポイントです。部屋の温度が頻繁に上下すると、冷房でも暖房でもそれだけエアコンのパワーを使いますからね。

会場では、「冷暖房、空気清浄機、全熱交換換気」が可能な全館空調熱交換システム「with air(ウィズエアー)」が目を引きました。1台のエアコンで効率的に冷暖房を行い、HEPAフィルターで空気をキレイにし、熱交換器によって換気による熱ロスまで抑えるというシステムです。全館空調にすることで、部屋と部屋、部屋と廊下の温度差を少なくできることから、ヒートショック対策として購入を検討する人もいるそうです。

  • 空調ユニットにHEPAフィルターを備え、キレイな空気を室内に送り込みます

  • 150平方メートルくらいの空間なら、冷暖房能力が8kWのエアコン×1台で全館の冷暖房をまかないます

プランによって、フロア空調と個別空調の組み合わせに対応。例えば、1階はフロア制御にして2階は個室制御、1階も2階もフロア制御、1階も2階も個別制御といったように、住居やライフスタイルにあわせて設計できます。個別空調する場合は、送り込む風量を調節することによって、部屋の温度をおおもとのエアコン設定温度よりも少し高めにしたり、低めにしたりします。

  • ファンを使って全館に送風

  • 個別制御も可能

  • 換気システムでは、汚れた空気と一緒に排出していた熱を、吸気時に回収して室内に戻します

ライフスタイルに合わせた空間ソリューション。横に広いIHクッキングヒーター

キッチンやリビングなど、インテリアに関する提案も充実。中庭を生かしたリゾートホテル風のインテリア提案に加えて、趣味をテーマにした部屋作りは見ているだけで楽しいものです。

  • 中庭に面したバスルーム。開放感があり気持ちよさそう

  • 趣味のサーフィンをテーマにしたインテリア。リビングの隣に「サーフィン部屋」を作っています

最近は家族で一緒に料理をする家庭が増えているようで、3口横並びのIHクッキングヒーター「トリプルワイドIH」の問い合わせが多くなっているとのこと。横に広いことで同じ調理をしやすいほか、親子やパートナーで一緒に調理するときに互いのヒジがぶつからずスムーズに行えるそうです。

  • 家族と横に並んで調理してもゆったりとしたスペースが保たれます

  • 手元にコンセントがあると、ハンドブレンダーのような調理家電も使いやすいですね

  • キッチンの対面にワークスペースを用意。リビング学習にも最適です

キッチン周りは、キッチンツールだけでなく、お気に入りの小物をディスプレイする家庭も増加中。自由にカスタマイズできる有孔ボードや、マグネットボードなどの人気が高まっています。

  • キッチンにお気に入りの小物を飾る人が増えています

  • マグネットでくっつきます

  • 引っかけたり、置いたり、自由度が高い有孔ボード

ペットと暮らす部屋

ペットと一緒に過ごす時間が増えた人に向けたソリューション「わんにゃんSmile」も。ペットと一緒に暮らす空間作りの商品群です。カウンター、床材、くぐり戸対応の内装ドアなどを4月3日から順次販売します。ペットとの暮らしを考えた機能性ながら、カラー、素材、デザインといったインテリアとの調和を考えたコーディネートができますね。

キャットウォークやキャットステップとしても使えるカウンターは、紫外線や湿気に強い特殊塗装を施しました。テレワークスペースの目の高さにカウンターを作っておくと、仕事中もくつろぐ猫と目が合います。窓際に設置すれば、猫が外を眺めるスペースにもなりますね。

  • 窓際にカウンターを設置すれば猫のお気に入りになるかも?

床材は滑りにくい仕上げ。小型犬が滑って転んだりするのを防ぎます。足腰への負担も減らせるそうです。汚れに強い塗装なので、サッと拭き取れるところも安心。

内装ドアはペットが自由に出入りできるくぐり戸をオーダーで対応します。くぐり戸ののれん部分は取り外しができるほか、半透明タイプも用意しペットの性格に合わせて選べます。

  • カウンターは滑りにくい素材なのでペットが移動しても安心です

  • のれん部分は取り外せます

  • くぐり戸対応の内装ドアは引き戸、開き戸、カラー違いなどで33デザインを用意

エレベーターや床材なども展示

このほか、会場にはホームエレベーター、不燃軽量天井材、約6mm厚の天然木OAフロア用木材仕上材などの展示も。改めて、パナソニックグループはいろいろなものを作っているんだなあと実感。

電気代の高騰や生活スタイルの変化で、家の中を快適に、省エネに、しかもくつろげる空間にしたいというニーズが一層高まっており、メーカーもそれに応える製品を次々と発売しています。展示会やショールームだけでなく、最近はキッチンやバスでもSNSで情報収集して購入する人が増えているそう。ぜひチェックしてみてください。

  • こちらは3人乗りのホームエレベーターUiシリーズ。パナソニックはホームエレベーターではトップシェアとのこと

  • カーペットと同じ6mm厚の床材。1枚単位で貼ったりはがしたりできるので、後から配線を設置することもできます

  • 高齢者施設向けのユニットバス アクアハート。リフトを使った移動など実際に体験できました