Twitterがサードパーティ製Twitterクライアントの締め出しに乗り出した可能性が疑われる中、1月19日(米国時間)にTwitterが英語版の「Developer Agreement(開発者契約およびポリシー)」を更新した。サードパーティ製クライアントの提供を困難にする内容の追加が主な変更点になっており、ポリシー変更を受けてIconfactoryは「Twitterrific」の提供終了を公式ブログで発表した。

  • Iconfactoryのショーン・ヒーバー氏が「Twitterrific」の終了を宣言

1月13日に「Tweetbot」や「Twitterrific」など一部のサードパーティ製クライアントが突然利用できなくなり、Twitter APIが関わるトラブルであることからTwitterによる意図的なブロックが指摘されていた。17日にTwitter DevチームがTwitter API規則の厳守徹底に努めていることを明らかにしたが、ブロックされているサードパーティ製クライアントがどのような規則に反しているかには言及していなかった。

「開発者契約およびポリシー」の大きな変更点は「II. ライセンス素材の利用に関する制限」の「A. リバースエンジニアリングとその他の制限」の「C」だ。

c) use or access the Licensed Materials to create or attempt to create a substitute or similar service or product to the Twitter Applications

開発者に対して、「Twitter」アプリケーションと同様または代替になるサービスや製品を作成もしくは開発するためのライセンス素材の使用やアクセスを禁じている。「ライセンス素材」とは、Twitter API、Twitterコンテンツ、Twitterマークの総称だ。つまり、Twitterアプリと同様のクライアントを提供するためにサードパーティがTwitter APIにアクセスすることはできない。

ポリシー変更の影響は大きいが、Twitterは過去にも同様の制限を検討したことがある。立ち上げ期にTwitterは手軽につぶやけるプラットフォームとして、数多くのサードパーティのTwitterクライアントとともに急拡大を実現した。しかし、ユーザー獲得期を過ぎて上場を目指す過程で、広告を柱としたビジネスモデルを確立するために「Twitter」アプリにサービスの利用を集中させようとした。その際にTwitterの成長に貢献してきた開発者が猛反発し、2012年リリースのTwitter API 1.1でAPIアクセスに厳格な制限が設けられたものの、サードパーティ製アプリの排除には至らなかった。

イーロン・マスク氏による買収からTwitterは収益の改善に取り組んでおり、広告収益を伸ばすためのサードパーティ製Twitterアプリの排除は十分起こり得ることだった。問題は、事前説明も通知もなく突然APIアクセスをブロックし、関係する開発者とのコミュニケーションをとらないまま「開発者契約およびポリシー」を変更したこと。

Iconfactoryのショーン・ヒーバー氏は、「Twitterrific:一時代の終わり」と題したブログ投稿で、「このアプリが唐突にみっともない終了を迎えたのは、ますます気まぐれになっていくTwitterによる発表も文書化もされていなかったポリシー変更のせいです。Twitterはもはや信頼に足るとは思えず、これ以上ともに仕事をしたいとは思いません」と述べている。