OPPOブランドのスマートフォンなどを展開するオウガ・ジャパンは16日、日本向けのミドルクラススマートフォン「OPPO Reno7 A」を発表しました。大規模な調査を実施して日本人のニーズを把握し、日本人向けの機能、デザインを盛り込んだとしています。6月16日から予約を開始し、発売は6月23日から順次。オープンモデルの価格は44,800円となっています。
世界市場で第4位のスマートフォンブランドであるOPPOは、日本市場参入から5年となり、日本でも一定の存在感を示すようになりました。ビジネスの方針として、「顧客志向」と「追求志向」があるそうで、ユーザーのニーズを満たす製品開発をして、絶えず製品の改良、最適化を行って品質を高めるといったスタンスだとしています。
こうしたスタンスから生まれたReno Aシリーズですが、Reno A、Reno3 A、Reno5 Aと3世代を重ね、累計出荷台数は130万台に達し、国内のAndroid搭載SIMフリースマートフォン市場でOPPOが1位になる原動力になりました。
新モデル開発にあたってのユーザー調査は4,500人に及び、昨年の夏から秋にかけて4カ月間にわたってニーズなどを調査してきたといいます。その結果、防水防塵、おサイフケータイといったニーズに加え、デザイン面でも様々な要望があったそうです。
さらに、スマートフォンの買い替え間隔が3~4年へと長くなり、ユーザーの54%があまり買い換えたくない/同じ端末を使い続けたいと考えていることが分かったといいます。ここから、長く使える相棒のようなスマートフォンでありたい……という新モデルのコンセプトを打ち出すことになりました。
そうしたニーズとコンセプトを踏まえて開発されたReno7 Aは、デザイン、パフォーマンス、カメラの3点を重視。デザイン面では特に背面処理が特徴的。「OPPO Glow」と呼ばれる特殊処理を施した背面は、「肉眼では見えない50万の不規則な結晶」(同社プロダクトマネージャー中川裕也氏)がちりばめられています。
この処理により、さらさらした手触りのマットな処理をしながら、角度によって光が反射する独特の印象を実現しました。中川氏は、「磨りガラスの質感だけど光沢がないマットな仕上げ。輝きとマットという一見して矛盾した要素を搭載した」と話します。
デザイン面では、「日本で誰もが一度は目にしたことがあるような著名なデザイン会社」(同社専務取締役・河野謙三氏)と協力。このデザイン会社からは18人のデザイナーが参加しており、日本のチームに加えて本社デザイン部門など総勢40人がカラー/素材/形状などを検討したとしています。
前モデルは側面がくさび形になっていましたが、新モデルではフラットな形状になっています。厚みは0.6mm薄くなり、重さも7g軽くなりました。「“5G対応・IP68の防水防塵性能を備えたミドルレンジのAndroidスマートフォン”では最薄」だとしています。
本体の薄型化を実現した1つの要素が、ディスプレイを液晶から有機ELに刷新したこと。これでディスプレイの厚みが40%抑えられたといいます。サイズは6.4型でフルHD+(2,400×1,080)表示、リフレッシュレートは90Hzとなっています。前面にはAGCの強化ガラスを採用したことで、強度は前モデル比で約2倍。「過去最高のディスプレイで、傷や割れに強く、長く安心して使える」と中川氏はアピールします。
薄型軽量を実現しながら、Reno5 Aの4,000mAhよりも大きい4,500mAhのバッテリーを内蔵。大型バッテリーでも絶妙なサイズを目指した、といいます。
SoCはSnapdragon 695 5G。メモリは6GB、ストレージは128GB。ストレージをメモリとして扱う拡張機能も備え、最大5GBの拡張ができるそうです。前モデルのSoCはSnapdragon 765Gでしたから、700番台から600番台への変更となります。とはいえ、パフォーマンスとしては765Gよりも高いとのことで、必要十分だと判断したようです。
長期利用を想定して、「36カ月間使用しても持続するサクサクな操作感を実現した」としています。メモリ圧縮方式を変更し、システム稼働領域を効率よく維持して、システム劣化を5%以下に抑えたことで可能になったそうです。
なお、長期利用を想定して長期サポートやアップデートの提供を想定していますが、現時点でOSアップデートは1回を確約しています。それ以降はパートナーやGoogleなどとも話し合った上で決定するとのことです。
カメラは、広角/超広角/マクロのトリプルカメラ。メインとなる広角カメラは、前モデルが6,400万画素だったところ、4,800万画素と少なくなっています。ユーザー調査でどれぐらいなら十分か、という声を集めたことで決定したそうです。
そのほか、ディスプレイ内指紋認証と顔認証という2つの生体認証をサポートし、イヤホン端子、FMラジオといった機能を搭載。防水防塵/FeliCaの搭載を含めて、「愛着を持って長く使えるように細かな部分にも対応した」と中川氏は言います。
先述の4カ月にわたる調査では、報告書が1,000ページにもなった……と話すのは同社プロダクト部部長の李毅氏。カラーだけでも「マンガや歌舞伎のような色鮮やかなものと、庭園やお寺のようなシンプルで穏やかなものという両極端が好まれた」(李氏)といい、そのバランスを取ったカラーを採用したそうです。
ちなみにReno AシリーズはこれまでReno A、Reno3 A、Reno5 Aと続き、4世代目にあたるのがこの日発表のReno7 Aです。グローバルでは半年に1モデル、日本では1年に1モデルをリリースしている関係上、モデル名が奇数になっているそうです。
Reno Aシリーズがミドルクラス製品となっているのは、「グローバルでOPPOはミドルクラスが非常に強い」(河野氏)からだと言います。開発/設計/製造に加え、SoCをはじめとしたサプライ面でもミドルクラスが強いといいます。「チップセットからバッテリー、画面などに至るまで、購買能力は他に類を見ないほど強い」(河野氏)ことから、Reno Aシリーズでも得意のミドルクラスで勝負した形です。
当初、OPPOは詳しい人が使うスマートフォンというイメージだったところ、Reno Aの登場で一般向けの認知度も高まり、「Reno3 Aでは手応えを感じた」(河野氏)と言います。タレントの指原莉乃さんを起用した広告も手伝って、一般ユーザーも使うスマートフォンとしてのブランドを確立できたとしています。
半導体不足の影響はほとんどないという同社ですが、グローバルで製造原価が上昇しており、「価格には頭を悩ませた」と河野氏。原価が20%上昇しているそうで、それに加えて円安の影響も大きく、Reno5 Aに比べて少し価格は上がりましたが、それでもReno7 Aでは価格上昇を抑えたとしています。
SoCやカメラなどのスペックが変わったのは、こうしたコスト削減の意味合いもあるのかもしれません。それでも、ニーズの強い機能は手堅く抑えて、機能とコストのバランスを取ろうとしたことが見て取れます。
今年下半期には、さらにタブレットも投入することを明らかにしたOPPO。日本市場に向けてさらなる商品強化を図っていく考えです。