ヤマハミュージックジャパンは、独スタインバーグの開発による音楽制作用デジタル・オーディオ・ワークステーション(以下DAW)・ソフトウェア「Cubase(キューベース) Pro 12」と、 その機能を厳選して搭載したミッドレンジグレード「Cubase Artist 12」、 エントリーグレード「Cubase Elements 12」のダウンロード販売を開始した。価格はオープン、Steinberg Online Shopでは、「Cubase Pro 12」が62,700円、「Cubase Artist 12」が35,200円、「Cubase Elements 12」は13,200円。パッケージ版も順次発売を予定している。
今回のバージョンアップでは、新たなライセンスシステム「Steinberg Licensing」の導入により、ドングルを必要としないライセンス管理が出来るようになったほか、サードパーティMIDIコントローラーとの連携強化やオーディオワープ機能の向上などのアップデートが施されている。主な新機能は以下の通り。
- 新ライセンス管理システム「Steinberg Licensing」の導入
従来のドングル(USB-eLicenser)を使用する方法から、ドングルを必要としない「Steinberg Licensing」へと変更。「Steinberg Licensing」においては、ライセンスは「Steinberg Activation Manager」を通じてSteinberg IDと紐づき、最大で3台のPCへのアクティベーションが可能。
- オーディオファイルからのコード検出
オーディオファイルをコードトラックにドラッグ&ドロップすることで、コード検出が可能となった。検出時、コードトラック上にアプリケーションが最も可能性が高いと判断したコードイベントが配置される仕組みだが、その他にも考えられるコードについてもコードエディターで一覧を表示するので、フィーリングに合うコードを選び直せるようになっている。
- オーディオワープ機能の向上(「Cubase Pro」「Cubase Artist」のみ)
これまで、サンプルエディター上でのみ作業可能であったオーディオ素材のタイミング調整「フリーワープ」がプロジェクトウィンドウ上で行えるようになった。さらに複数のトラックを同時に作業できるようになったのに加え、同フォルダ内のオーディオの位相を同期する機能も追加している。
- 「VariAudio 3」へのスケールアシスタント機能搭載(「Cubase Pro」「Cubase Artist」のみ)
オーディオのピッチ・タイミング編集機能「VariAudio 3」にスケールアシスタント機能が搭載された。キーエディターで使用するものと同様に、エディター全体で単一のスケール、もしくはコードトラックに沿ったスケールノートガイドの表示、指定したスケールに沿ったピッチ編集のスナップが可能。
- MIDIコントローラーとの連携向上
エディターの下ゾーンに「MIDI Remote」タブが新設され、各種MIDIコントローラーとの連携設定ができるようになった。「Cubase 12」内でスクリプトが組まれているMIDIコントローラーについては、接続すれば「MIDI Remote」タブに製品と同様のGUIが表示される。スクリプトが組まれていない製品についても、簡単にGUIの作成やパラメーターのアサインが行える。
- フェルトピアノ音源ライブラリー「Verve」を追加(「Cubase Pro」「Cubase Artist」のみ)
豊富なサンプラーを備えたプラグイン「HALion Sonic SE 3」で使えるフェルトピアノ音源ライブラリーです。エディター上で「PIANO」と「TEXTURE」を混ぜ合わせ、他にはないサウンドを生み出す。
- モジュレーションプラグイン「FX Modulator」を追加(「Cubase Pro」「Cubase Artist」のみ)
素材に対して、さまざまなエフェクトチェーンを適用できるモジュレーションプラグイン「FX Modulator」を追加。デフォルトで14種類のエフェクトモジュールとファクトリーエンベロープカーブのセットが用意されており、エンベロープカーブは自由に変形できるようになっている。
- リミッタープラグイン「Raiser」を追加(「Cubase Pro」のみ)
掛かり具合を視認できる多機能リミッタープラグイン「Raiser」を追加。さまざまなリリースタイム設定により、パーカッシブな素材に対するアグレッシブなリミッティングや、フルミックスの自然な音圧上げなど幅広い用途に対応する。
SuperVisionに新モジュール追加(「Cubase Pro」「Cubase Artist」のみ)
「Cubase 11」から搭載されたメータープラグイン「SuperVision」にVUメーター、キーボードタイプのスペクトラムアナライザーなどの新モジュールが追加された。サラウンド/Dolby Atmos対応(「Cubase Pro」のみ)
イマーシブサウンドを扱うための新しいチャンネル設定とバス設定が追加された。Dolby Atmosのフォーマットにも対応。Apple Siliconにネイティヴで対応 Apple SiliconのRosetta2に加え、ネイティヴにも対応。
ロジカルエディターの進化(「Cubase Pro」のみ)
GUIが刷新され、新しい項目やプリセットを追加した。その他の編集ワークフローの向上
新しいクロスフェードエディターやトラックごとのARA適用など、さまざまな編集機能が追加および改良が施されている。
Steinberg Online Shopで販売が始まっている製品は以下の通り。パッケージ版も順次発売する予定とのことだ(括弧内はSteinberg Online Shopでの価格)。
- Cubase Pro 12 通常版(69,120円)
- Cubase Pro 12 クロスグレード 通常版(41,800円)
- Cubase Pro 12 アカデミック版(41,800円)
- Cubase Artist 12 通常版(35,200円)
- Cubase Artist 12 アカデミック版(19,800円)
- Cubase Elements 12 通常版(13,200円)
- Cubase Elements 12 アカデミック版(7,700円)
クロスグレード版は、Apple Logicなど競合他社のDAWユーザーを対象としたディスカウントで証明書の提示が必要。アカデミック版は、学生および学校教員、教育機関向けの優待販売版で、購入の際には、学生証、教員証等のコピーが必要となる。また、アップデート版、アップグレード版の提供も合わせて行う(詳細はスタインバーグサイトにて確認できる)。
共通の動作環境は以下の通り。
- Mac:macOS 11 Big Sur以上、8GB以上のメモリ
- Windows: 64bit Windows 10 Version 21H2以上、64bit Windows 11 Version 21H2、8GB以上のメモリ
また、「Cubase Pro」「Cubase Artist」はMac/Windowsともに70GB以上のディスク空き容量、「Cubase Elements 12」はMac/Windowsともに50GB以上のディスク空き容量が必要となっている。