米Intelは1月21日(現地時間)、200億ドルを投じて米オハイオ州に最先端半導体製造施設を建設すると発表した。2025年の操業開始を予定しており、自社製品を製造するほか、ファウンドリ事業(受託生産)の需要拡大に対応する。半導体材料ガスのAir Products、製造装置のApplied MaterialsやLAM Researchといった関連企業も拠点を設ける計画を明らかにしており、米国において半導体の安定供給を確保する強固なサプライチェーン構築を目指す。
Intelはオハイオ州コロンバス郊外のリッキング郡に1,000エーカー(約4平方キロ)近い敷地を取得。2022年後半に2つの製造施設の建設に着工する。アリゾナ州、オレゴン州、ニューメキシコ州、マサチューセッツ州に製造施設を持つ同社が、米国内の新たな地域に製造拠点を設けるのは約40年ぶり。オハイオ州の敷地にはさらに6つの製造施設を建設可能で、8つの工場がフル稼働した場合、世界最大規模の半導体製造拠点となる可能性があり、今後10年間の投資額が1,000億ドル規模に拡大する。
Intel Foundry Servicesを担当するシニアバイスプレジデントのRandhir Thakur氏は、「オハイオ工場は、"オングストローム(Angstrom:0.1nmを表す単位)時代"に向けて設計されており、Intel 18Aを含むIntelの最先端プロセス技術をサポートします」としている。新拠点はグリーンビルディングの原則に基づいて設計・建設され、新工場はIntelの2030年のサステナビリティ目標をサポートするため、100%再生可能エネルギーによる電力供給、ネット・ウォーター・ポジティブ、埋立廃棄物の総量ゼロを目標として掲げている。
2つの製造施設によって、Intelはオハイオ州に約3,000人の雇用を創出する。また、地域の人材育成に今後10年で約1億ドルを投じる計画で、オハイオ州の大学やコミュニティカレッジ、米国立科学財団と連携したプログラムを展開する。
昨年2月にCEOに就任したPat Gelsinger氏は、半導体の米国内生産回帰を掲げるバイデン政権と協調しながら、米国の製造拠点への積極的な投資を推進している。昨年、アリゾナ州の拠点で200億ドル規模の新工場の建設を開始、さらに35億ドルをかけてニューメキシコ州の施設を増強し始めた。そうした中期的な生産ニーズを満たす強化に加え、オハイオ州に新サイトを設けることで同社はさらに長期的に生産能力を拡大していける態勢を整えた。