カラビナ型カメラや双眼鏡型カメラなど、新趣向のカメラを続々と投入しているキヤノンが、置いておくだけで自動で家族の様子を撮影する新趣向カメラ「PowerShot PICK」を発表しました。カメラ部にパン&チルト&ズーム機構を備えており、周囲の人物を認識してよい表情やよい構図で自動撮影してくれます。バッテリーを内蔵しており、電源のない外出先でも使用可能。「カメラ担当のパパが写った写真がほとんどない」といった不満を解消し、思いがけない写真が撮れていたという楽しみももたらしてくれるカメラとして、ファミリー層に売り込みます。
販売はキヤノンオンラインショップとキヤノンフォトハウス銀座/大阪限定で、一般の量販店や通販サイトでは取り扱いません。キヤノンオンラインショップとキヤノンフォトハウス銀座/大阪での価格は45,980円で、発売は11月末の予定です。
カメラ任せの撮影に加え、音声での撮影指示も可能
今年1月にクラウドファンディングサイト「Makuake」で先行販売を実施し、最速で1億円を集めたことで話題になった製品。ネットワークカメラのような外観の新趣向のカメラで、カメラがある上半分が水平方向と垂直方向に動き(パン&チルト)、周囲にいる人を見つけて自動で撮影します。スマホアプリで顔を登録しておけば、その人を優先して撮影してくれます。
カメラ自身が被写体の表情や構図を判断して撮影しますが、音声認識を用いたハンズフリー操作にも対応しているので、声で指示すれば希望するシーンや人物を撮影できます。スマホと連携させれば、撮影した写真や動画を再生できるほか、撮影条件を変更したり、カメラを遠隔で撮影するリモート操作にも対応します。PCとWi-Fiで接続するとWebカメラとして使える機能を備えている点は、リモートワークが浸透したイマドキの機能といえます。
撮像素子は有効1,170万画素の1/2.3型CMOSセンサーで、レンズは35mm判換算で19-57mm/F2.8-5.0の光学3倍ズーム。カメラ部の回転範囲は、パン(左右振り)が最大±170度、チルト(上下振り)が-20度(下)~+90度(上)。本体サイズは56.4mm(直径)×81.9mm(高さ)、重さは約170g。
専用アクセサリーとして、下半分を保護するシリコンジャケット「CSJ-P01」(1,485円)を用意します。カラーはピンク、ブルー、グレーの3色。
クラウドファンディング販売モデルとハードウエアは同じ
キヤノンの開発担当者によると、1月にクラウドファンディングで先行販売した製品とハードウエアは同一ですが、ファームウエアのアップデートで被写体認識や自動撮影の精度を高めたとしています。
クラウドファンディングで先行販売した際にユーザーから寄せられた声としては、撮影した写真がザラザラとした画質になることが挙げられたそう。開発担当者によると、カメラ部が動き回るため、被写体ブレを抑えるためにシャッター速度を比較的高速に設定しており、薄暗い室内などでは感度が上がってノイズが目立ちやすくなるとしています。ファームウエアの改良での画質改善を検討しているそうです。
キヤノンは、PowerShot PICKを保育園に設置し、自動で撮影した写真のなかからおすすめのものをWebサイト経由で保護者に販売するサービスの実証実験をフォトクリエイト社と協業して実施しています。今後、PowerShot PICKがさまざまな場所で活躍する姿を見かけるかもしれません。