パナソニックは7月12日、調理機能を搭載したIoT対応IHジャー炊飯器「ライス&クッカー SR-UNX101」(以下、SR-UNX101)を発表しました。発売日は9月1日で価格はオープン、推定市場価格は45,000円前後です。
大きな特徴はふたつ。ひとつは、購入時は基本的な機能のみを搭載していて、欲しい機能を後から追加できる「マイスペック」コンセプトに対応していること。もうひとつが、煮物やスープなどを作る電気調理鍋としての機能も備えていることです。
冷凍ご飯と自動調理で料理の手間を最小限に
SR-UNX101は、パナソニックの「マイスペック」コンセプト製品の第2弾。第1弾として、IoT機能を備えたオーブンレンジ「ビストロ NE-UBS5A」が発表されています。
最近は多機能な家電が増えた反面、使わない機能のために操作やデザインが複雑になりがちです。そこでマイスペック製品は、出荷時には標準的な機能だけ搭載し、購入後に自分が必要とする機能をIoTや別売アクセサリーで追加していく――という仕組み。「フルスペック(全部入り)よりマイスペック(必要なものだけ)」にすることで、シンプルな家電デザインとわかりやすい操作、IoT化による継続的なメニュー提供を実現したシリーズです。
近年はボタンひとつでほったらかし調理ができる電気調理鍋も人気ですね。メニューにあわせた自動調理で失敗がなく、火を使わないので調理中にそばについていなくてもOK。調理中に別のことができる点からも、時短家電の王道ともいわれています。
ただ、日本の狭いキッチン事情だと、電気調理鍋を置く場所に困るケースが多いのも現状です。SR-UNX101は、炊飯器に電気調理鍋の機能を持たせることで、1台○役としてスペース問題を解決してくれます。
炊飯器と調理鍋を一緒にすると、「おかずを調理したらご飯が炊けないのでは?」と思うかもしれません。しかし、パナソニックによると、忙しい育児世帯や共働き世帯の多くは、週末などにご飯をまとめ炊きして、一膳ずつ冷凍するスタイルが多いとのこと。SR-UNX101で肉じゃがといったおかずを作り、食べる前に冷凍ご飯をレンジで温めることで、調理にかかる手間と時間を減らせますね。
ご飯を美味しく炊飯するための機能もしっかり搭載
「炊飯器」+「自動調理鍋」という新しいジャンルの製品ながら、SR-UNX101は炊飯の美味しさにもこだわっています。加熱用のIHコイルは底部と底側面部に分かれ、通電を最短0.04秒で高速切り替えすることで、内対流と外対流を交互にスイッチ。これにより、強力な泡の対流で米を大きく動かし、ご飯を大きくふっくらと炊き上げるそうです。
炊飯コースとしては、「白米 銀シャリ(ふつう・かため・やわらかめ)」「白米 早炊き」「白米 すし・カレー用」「雑穀米」「金目ロウカット玄米」など全部で25通りを用意。ご飯を冷凍するユーザーを想定しているため、「白米 冷凍用」コースもあります。冷凍用コースでは、高温で米を浸水させて水分を均等化し、解凍ご飯にありがちな「ふっくらしない」「ほぐれが悪い」という状態になりにくくするそうです。
このほか面白い機能として、「その年のお米のできばえにあわせて炊き方を更新」する機能を搭載。たとえば、雨不足の年なら米がパサつきやすいので吸水時間を延ばす……といった調整をしてくれます。毎年の11月ごろに更新される予定です。
調理メニューは10種類を用意、今後のメニュー拡大に期待
自動調理機能には、調理専用の火力プログラムが用意されています。最近は普通の炊飯器でおかず調理をする人もいますが、炊飯用の加熱プログラムだと「加熱しすぎ」「加熱が足りない」という失敗もしがち。SR-UNX101なら、料理にあわせた専用の火力を用意しているため、より美味しく調理できるわけです。
自動調理の操作はスマホアプリからのみ。アプリには、ポトフ、ロールキャベツ、カレー、ミートソースといった煮物のほか、チーズケーキなどの焼き物調理も用意。ただし7月12日現在では、まだ10種類しかメニューがありません。少しもの足りない数ではありますが、今後は人気の食セレクトショップ「DEAN & DELUCA」監修のコラボレーションメニューを含む、新しいメニューを随時配信予定とのこと。この「購入後にメニューが増える」のはIoTならではのメリットですね。
今回、発表会で製品に触れてみて、SR-UNX101は「アプリを使って完成形」と感じました。スマホとアプリがなければ、自動調理はメニュー選択もできませんし、炊飯も本体だけでは選んだ炊飯メニューがわかりにくい……。スマホとアプリが前提と思ってよいでしょう。
一方で、自動調理鍋と炊飯器を1台にまとめられるのはかなり魅力的。「キッチンが狭いから」と、電気自動調理鍋をあきらめていた家庭の救世主になるかもしれません。「マイスペック」シリーズの製品ということもあり、選べるメニューや機能がどんどん増えていくのも楽しみです。