神奈川県・葉山町とカシオ計算機は、2021年3月26日に「プラスチックごみ削減のための連携に関する協定」を締結した。環境省が取り組む、海洋プラスチックごみの削減に向けて「プラスチックとの賢い付き合い方」を全国的に推進する施策、「プラスチック・スマート」における提携の第1号となる。
葉山町とカシオは両者ともプラスチック・スマートに参加しており、プラスチックごみの削減に向けた課題認識・取り組みに共通点を持つことから、今回の締結にいたった。SDGsの理念に基づき、プラスチックごみの削減に向けて両者の相互連携と、より一層の推進を図っていく。葉山町は以前から環境に配慮した「はやまクリーンプログラム」を実施している。
協定の具体的な内容としては、カシオは葉山町に対してラベルライター「Lateco(ラテコ)」を提供。Latecoは、繰り返し使えるカートリッジを採用することによって、従来のラベルライター(カシオのネームランド)と比較して約97%のプラスチックごみ削減を実現した製品だ。葉山町の役場や学校といった町の関連施設にLatecoを導入し、事務作業で生じるプラスチックごみの削減を図る(ラベルテープなどの消耗品は有償での提供)。
そのほか、葉山町のビーチクリーン活動にカシオが参加して環境保全活動を支援したり、両者が共同で「プラスチックごみに関する講演会・学習会」を開催して周知と啓蒙に努める。合わせて「プラスチックごみ削減検討委員会(仮称)」を設置して、さらなる連携を検討していく。
今回の協定締結にあたっては、調印式も行われた。葉山町長の山梨崇仁氏、カシオ計算機 取締役兼執行役員の山岸俊之氏が協定書に署名したほか、環境庁の担当者が出席して小泉進次郎環境大臣のメッセージを紹介した(以下に抜粋)。
小泉進次郎環境大臣『今回、葉山の町役場などで、テープの詰め替え方式によりプラごみを約97%も減らせるラベルライターを率先して使い、効果の検証もされる、とうかがいました。これは、企業のプラごみ削減技術と行政の率先実行による素晴らしい連携プレーと言えます。葉山町から私の地元横須賀・三浦を含めた三浦半島全体に取り組みが広がっていくことも期待しています。
葉山町は、3月18日に、2050年までの実質ゼロカーボンを目指すことを宣言されました。環境省としても、脱炭素のモデルケースを各地に創り出し、次々と先行地域を広げていく地域「脱炭素ドミノ」を強力に展開していきます。
私たちは、2050年カーボンニュートラルの実現と同時に、2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロとすることを目指しています。このためには、環境配慮設計から使用後の処理まで、ライフサイクル全体で対策を講じ、資源が循環し、エネルギー消費も抑えられる循環経済、サーキュラーエコノミーを構築する必要があります。
瀬戸内海では、海洋ごみ対策を広域で進めるモデルの構築を目指した、日本財団と岡山県、広島県、香川県、愛媛県の4県による共同事業「瀬戸内オーシャンズ X」を起点とした取り組みが始まっています。
今日の連携協定もきっかけに、このような地域と企業の連携による新産業創出に向けた循環経済づくりをドミノ展開していきたいと考えています。地域の方々と力をあわせて、脱炭素化に向けた経済社会のリデザイン(再構築)を進めていけることを期待しています』