ソニー純正品よりも小型軽量で低価格なのに明るさなど性能は抜かりなし、というEマウント用の交換レンズを意欲的に投入しているタムロン。この1月に新たに登場したのが、ソニーのAPS-Cミラーレスカメラ用の標準ズームレンズ「17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD」です。小型軽量ながらズーム全域でF2.8としたうえで、タムロン独自の手ブレ補正機構「VC」(Vibration Compensation)を搭載しているのがポイント。最短撮影距離は0.19m(ワイド端)と近接撮影も可能となっていて、オールラウンドで軽快に使えるレンズに仕上がっていました。
17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDは、長さ119.3mm、最大径74.6mm、質量525gと、小型軽量のAPS-Cミラーレスにジャストな印象に仕上がっています。全域F2.8と明るくズーム倍率が高いこともあり、やや長めのルックスとなりますが、APS-Cミラーレスの最上位モデル「α6600」に装着した感じはなかなかのバランスです。
レンズ構成は12群16枚で、2枚のGM(ガラスモールド非球面)レンズと1枚の複合非球面レンズを適切に配置。十分な光学性能を追求しています。さらに、タムロン独自のレンズ内手ブレ補正機構「VC」を搭載。テレ時だけでなく、低照度下の撮影でもブレを抑えたクリアな像に仕上げられます。近ごろは、ミラーレスでムービー撮影をするフォトグラファーも多くなっていますが、動画撮影時もしっかり補正効果が得られるとのこと。
実際にα6600に装着してブラブラとスナップ撮影を楽しみましたが、スリムかつ軽量のレンズ鏡筒はハンドリングもよく、F2.8全域ズームということでボケ効果や速いシャッタースピードなどを堪能できました。
何より、被写体に寄れる近接撮影性能が見逃せません。ブツ撮りや料理など、テーブルフォトでも役に立つこの機能は、ワイド端0.19m、テレ端0.39mのスペックを誇ります。ステッピングモーターユニット「RXD」(Rapid eXtra-silent stepping Drive)を用いたオートフォーカスは静粛かつ高速で、とっさの瞬間でも正確に合焦してくれました。レンズ鏡筒はシーリングを施した簡易防滴構造になっているので、レンズ前面の防汚コートと相まって、ちょっとの雨なら問題なく使用できそうです。
オールラウンドで使用できる明るくスリムな標準域ズームレンズだと感じました。α6000シリーズのユーザーならば、キットレンズからのステップアップを検討してみては?
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ワイド端の17mmで、神奈川県川崎市サイドから多摩川を挟んで東京都世田谷区の二子玉川の街を撮りました。35mm判換算で25.5mm相当となるので広角感があり、近景から遠景までスッキリとしたヌケのいいショットになりました
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同じ場所から、テレ端の70mmで撮影。35mm判換算だと105mm相当となりますが、ワイド端と同様にクリーンな写りをしてくれました。使いやすい焦点距離を広くカバーしているので、常時携行してスナップ撮影を楽しむのにピッタリなレンズでしょう
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大口径で手ブレ補正機構「VC」を搭載しながら、軽量コンパクトに仕上がっていると感じます。特に目的もなくブラブラと散歩するときでも気軽に携行できる、525gという重量がうれしいですね。壁に書かれたグラフィティを撮りましたが、曇天時の微妙な雰囲気を残しつつ、自然な色再現性を見せてくれました
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このレンズの魅力は、被写体にグッと接近できる近接撮影能力でしょう。ワイド端0.19m、テレ端0.39mというスペックは「もうちょっと被写体に寄りたい!」というシーンで大いに役に立ちます。鏡割りをした餅に肉薄しましたが、そのヒビ割れ具合や硬さを感じさせる繊細な写りがいいですね
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テレ端でもF2.8という明るさは、とりわけ低照度下の撮影で威力を発揮します。背景をぼかせるのはもちろんですが、シャッタースピードを稼いで被写体ブレや手ブレを防ぐこともできるからです。囲炉裏端を撮ったカットですが、鉄製ナベのディテールや炎の動きをイメージどおりにキャプチャーできました