KDDIが、キャッシュレス決済「au PAY」において大規模なキャンペーンに打って出ます。2月10日から3月29日までの7週間にわたり、毎週10億円をユーザーに還元する「誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーン」を実施すると発表しました。都内で開催された記者説明会を取材しました。
10億円キャンペーンとは?
誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーンは、au PAYの決済額の20%分のポイントがユーザーに還元されるという内容。決済額200円(税込)につき40ポイントが還元されます。通常であれば還元率は0.5~1.5%程度なので、キャンペーン期間中の「20%」という還元率はきわめて大きいといえるでしょう。コンビニ、家電量販店、飲食店、スーパーなど、au PAY対応店舗で利用可能です。毎週、還元総額が10億円に達したところで終了しますが、これが7週間続きます。au PAYユーザーであれば、auのスマホを使っていなくても還元対象となります。
個人が得られるポイントは、キャンペーン期間を通して最大で7万円分となります。7週間が3つのステージに区切られており、各ステージで得られるポイントの最大額が以下のように定められています。
ステージ | 期間 | ポイント最大額 |
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ステージ1 | 2月10日~3月1日 | 30,000ポイント/au ID |
ステージ2 | 3月2日~3月22日 | 30,000ポイント/au ID |
ステージ3 | 3月23日~3月29日 | 10,000ポイント/au ID |
au PAYは1億超の会員基盤に
au PAYは、2020年5月以降にPontaカードとの統合が予定されています。現在、au PAYのポイント保有会員数は2,800万超、モバイル口座数は2,200万超(KDDI調べ、2020年1月時点、以下同)。一方で、PontaカードのPonta会員数は9,300万超、提携店舗数は22万店舗、提携社・ブランド数は127社184ブランド。これが融合することで、au PAYは1億超の会員基盤を有するサービスとなります。
記者説明会に登壇したパーソナル事業本部の東海林崇氏は「au PAYサービスが日本中のみなさんの最も身近なチャンネルになり、毎日の生活が豊かになることを期待しています」とアピール。KDDIでは、新生活の準備期間である2月、3月に向けて実施する今回の10億円キャンペーンを、au PAYサービスの起爆剤としたい考えです。
しかし、○○ペイと呼ばれるサービスがしのぎを削る昨今の市場において、キャンペーン後のau PAYの強みはどこにあるのでしょうか。これについて、東海林氏は「金融サービスにあります」と説明。その具体的な施策について、auフィナンシャルホールディングスの勝木朋彦氏も説明を加えました。
au PAYアプリは“スーパーアプリ”に
KDDIが目指しているのは、au PAYアプリの“スーパーアプリ化”。ひとつのアプリで日常生活における買い物、公共料金の支払い、果ては銀行の出入金、保険、資産運用などの金融サービスまで行えるようにしたい考えです。東海林氏は「十数年、続けてきた金融サービスについては、フルラインアップが整っています。これがKDDIグループの強み」と説明。勝木氏は、主要な新サービスを紹介しました。
3月には、公共料金の請求書の支払いをau PAYアプリで可能にします。家に届いた請求書のバーコードをアプリで読み込み、オンラインで支払えるようになれば、収納場所に出向く必要はなくなり、振り込み忘れもなくなるでしょう。2020年上期には、au PAYカードにオートチャージ機能も追加します。
このほか、3月には「おつり投資 for au でんき」がスタートします。これは、毎月のau でんきの利用料金から、余剰分が投資信託に回されるというユニークなサービス。「投資が初めての方や若い方も、すぐに始められます。まずは市場のニーズを把握して拡充につなげたい」と勝木氏。敷居の低い小額の投資信託で仕組みを理解したユーザーに、将来的に本格的な資産運用サービスを利用してもらうことも想定している、とのことでした。
勝木氏は「利用者の毎日の便利だけでなく、将来設計についても安心を提供したい。au PAYアプリに、すべての知見を注ぎ込んでいきます」と言葉に力を込めます。
いまコード決済を推す理由
引き続き、東海林氏、勝木氏、およびパーソナル事業本部の中井武志氏が質疑応答に対応しました。
他社の提供するスーパーアプリとの違いについて聞かれると、東海林氏は「スーパーアプリは、最近のバズワードとなっているようですが、明確な定義はないように思います。私たちが目指しているスーパーアプリとは、au PAYアプリが起点になることで、利用者の日常生活が豊かになるもの。タクシー、飲食店などにおける利用も考えていますが、まずは金融サービスで展開したい。単にアプリから決済できるだけでなく、例えばショップに入店したときに消費者に最適な情報がプッシュされたり、そのようなものを想定しています」と回答しました。
au PAYアプリにおける決済サービスの今後について、中井氏は「Apple Pay、物理カード、QRコードなど各種キャッシュレスサービスがそろうなか、まずはコード決済を爆発的に立ち上げます。そこで貯まったポイントを使っていただく。上期にはチャージ機能が追加され、5月からはPontaとの提携が始まります。ポイントの循環が生まれやすい構造を持っているのが当社グループの特徴です。今後も(ユーザーが)継続的にポイントを消費できる環境を作っていきたいと思っています」。
いまコード決済をプッシュする理由について、東海林氏は「2019年はキャッシュレス元年、ペイ元年でした。国もキャッシュレス事業を推進しています。ただ、残念ながら統計データでは20%くらいの利用数にとどまっています。マーケティング理論ではキャズムを超えた状況。いまが重要な時期だと考えました。簡便なスマホ決済のau PAYを押し出していきます」としました。
資産運用サービスについて、まだ若年層が開拓できていないのでは、という指摘に勝木氏は「若い方は、貯金は少しずつされています。堅実な方が増えている印象。一方で、資産形成までいくと敷居が高いのが現状です。金融業者でも、そこまで啓蒙できていません。KDDIでは、貯まったポイントで資産運用できるサービスも用意しています。日に日に増えたり減ったりする、こうした投資体験を、まずは積んでいただければ」と期待を寄せました。