故郷で暮らす高齢の両親を、遠くからさりげなく見守りたい――。そんな家族の気持ちに応える「みまもりサービス」を、ソフトバンクが12月19日より始める。キャリアに関係なく利用できるサービスで、基本プランは月額980円(以下、すべて税別)、ワイモバイル利用者なら月額480円だ。サービスのカギは、“IoT乾電池”にあった。

  • ソフトバンクが乾電池1個で、高齢者の「みまもりサービス」を実現する

みまもりサービスとは?

今回ソフトバンクが発表したのは、ノバルスが開発した単3形乾電池「みまもり電池」を核にしたサービス。みまもり電池は、電流が流れると「ビーコン」の役目を果たす設計になっており、みまもり電池を入れた家電が操作されると(あらかじめBluetoothでペアリングされた)高齢者のスマホに通知が届く。高齢者のスマホでは、バックグラウンドでクラウドに「行動履歴」の情報をアップロードする処理が実行され、家族は、その情報を遠隔地で確認することで、高齢者の無事をチェックできる。

  • サービスのイメージ

  • 単3形乾電池「みまもり電池」(別売り、3,190円/個)。なかに市販の単4形乾電池を入れて使用する

例えば、日常的に使うテレビのリモコン、電動歯ブラシ、トイレのリモコン、シーリングライトのリモコンなどにみまもり電池を使うことで「今日も実家でテレビがついているな」と無事を確認できる。なお、単3形乾電池を2本使う家電製品なら、みまもり電池は1本でも通知は届くとのことだ。

  • みまもり電池の使用例。発表会では単3形乾電池を2本使うリモコンに、1本はみまもり電池、1本は通常の電池を使っていた

「見守る側」の専用アプリの画面には「13:30 スマホのロック解除」「14:00 ライト」「14:30 TVリモコン」「15:00 トイレのリモコン」といったように、時系列に沿ったスマホと家電の使用状況が表示されていく。この『さりげない見守り』こそが、みまもりサービスのキモ。高齢者のプライバシーに最大限配慮しながら見守れるわけだ。

  • 専用アプリの画面には、高齢者の行動履歴が記されていく

では、異常があった場合は、どうなるのだろう。スマホ、みまもり電池を装着した家電が一定時間使用されないと、見守られる側にシステムから自動で電話がかかる。それは「問題ない場合は、このままお電話をお切りください。何かお困りの場合は、ダイヤルの1を押していただくと、見守っているご家族の方に、こちらからご連絡いたします」といった内容のもの。応答がない場合は、見守る側のアプリにアラートが表示される。

  • 一定時間、見守られる側の反応がない場合、システムから自動で高齢者に、電子音声による電話がかかる

元気なうちから早めの見守りを

みまもりサービス月額利用料は、見守られる側(高齢者)は無料で、見守る側(家族)は基本プランなら月額980円(ワイモバイル利用者なら月額480円)、シンプルプランなら無料だ。シンプルプランでは、見守れるのが1人まで、行動履歴のチェックが24時間までなど、一部の機能が制限される。基本プランは、2人まで見守れ、安心の自動電話など追加機能が利用できる。

  • 高齢者は無料、家族には「基本プラン」と「シンプルプラン」を用意した

みまもりサービスを提供するソフトバンクの寺尾洋幸氏は「電話で両親と会話をすることで、元気なことを確認する人もいるでしょう。一方で、もう少し簡単に高齢者の見守りサービスが利用できたら、と考える人もいる。そこで、今回のサービス開発につながりました」と経緯を説明する。

また、ノバルスの岡部顕宏氏は「市場にある見守りサービスは選択肢が少なく、専用機器が必要だったり、設置工事が煩わしかったりします。監視カメラのようなものをストレスに感じる高齢者も多く、そのため市場に普及していないのが実情です。みまもりサービスは電池1本しか使わず、プライバシーにも配慮できる。元気なうちから早めの見守りをスタートしていただけたら幸いです」とサービスをアピールした。

  • ソフトバンク 常務執行役員 Y!mobile 事業推進本部 本部長の寺尾洋幸氏(左)と、ノバルス 代表取締役の岡部顕宏氏(右)

  • サービスのローンチにあわせ、LEDセンサー卓上ライトなど「みまもりグッズ」のプレゼントキャンペーンも用意されている