ライカカメラジャパンが11月下旬に発売するフルサイズミラーレスカメラの新モデル「ライカSL2」のお披露目イベントが、11月13日にライカ銀座店で開催されました。会場には多数のSL2が並び、自由に撮影を試すことができました。SL2がどのようなカメラなのかを早速チェックしてみました。
SL2は、2015年に発売した「ライカSL」の後継モデル。フルサイズCMOSセンサーを4700万画素の高画素版に置き換えたほか、ボディ内手ぶれ補正機構を新たに搭載するなど、大幅な改良が施されています。希望小売価格は税別81万円となっています。
SL2を手にすると、日本メーカーのカメラに比べるとシンプルなデザインで、質実剛健なドイツの工業製品といったイメージを抱きます。外観は一見するとSLによく似ていますが、細かい部分がブラッシュアップされ、使いやすさが高まったと感じました。グリップは、これまでなかったくぼみが設けられ、重めのレンズを装着した際もしっかりホールドしやすくなっています。
上面と背面に2つのダイヤルがあるのはこれまでと同じで、特に上面のダイヤルは大きくてとても回しやすいと感じます。さまざまな機能を割り当てられるファンクションボタンの数が増えたことで、使いやすさの向上に磨きがかかっていました。
ライカのデジタルカメラは高精細なEVF(電子ビューファインダー)を搭載していることでも知られますが、SL2は576万ドットの高精細なEVFを搭載。見え方も非常にクリアでした。
背面のボタン配置も変更され、これまで液晶モニターの周りにあった操作ボタンが液晶の左側に集められました。ボタンの数こそ減っていますが、同社によると撮影者が操作ではなく撮影に集中できるようにしたためとのことでした。
メニュー画面には、設定状況を一覧できるページが新たに設けられました。このページは、写真撮影時と動画撮影時で異なるレイアウトになっており、動画時は音声のレベルメーターやタイムコードも表示されるようになっています。
今回、新しい画像処理エンジンを搭載することで処理速度を高めたとのことですが、これまでの倍近い4,700万画素の高画素でありながらAFももたつきはありませんでした。AFでは、新しく人を検出してピントを自動で合わせる「人認識」機能が搭載されました。試したところ複数人も認識でき、認識した人物の誰にピントを合わせるか選ぶこともできました。顔が見えている状況では顔にAF枠が重なり、顔認識としての動作も見られました。人の検出は瞬間的で、実用的といえるでしょう。
SL2は、SL同様にLマウントを採用しています。Lマウントレンズは、ライカ以外にもシグマやパナソニックからもリリースされており、選択肢が多いのも見逃せません。会場には、シグマとパナソニックのLマウントレンズも並び、試せるようになっていました。
ライカ純正のマウントアダプターを使用すれば、レンジファインダーカメラ用のライカMマウントレンズも装着可能となっています。Mマウントレンズはマニュアルフォーカスですが、SL2のファンクションボタンに拡大表示を割り当てるとピント合わせがやりやすくなります。
記録メディアはSDカードのダブルスロットです。SLは、片方のスロットのみUHS-II対応でしたが、SL2はどちらもUHS-II対応になりました。インターフェースでは、これまでアダプターが必要だったヘッドホンやマイクが直接接続できるようになっています。動画撮影を重視した改良といえるでしょう。バッテリーはSLと同じタイプとなっていますので、SLからの買い替えの際も流用できます。
Wi-FiかBluetooth経由でスマートデバイスに画像を転送できるアプリ「Leica FOTOS」にも対応。さらに、Adobe Lightroom CCとダイレクトに連携できる新機能などを盛り込んだ新バージョンのアプリが11月下旬に公開される予定となっています。
会場には特別ゲストとして、写真家集団マグナムのフォトグラファー スティーブ・マッカリー氏が登場。SL2のプロトタイプを使用して、7月に中国で撮影を行ったそうです。
マッカリー氏はSL2について、「スタジオ用のカメラを路上に持ち出すようなもので、夢のようなカメラ。光の少ない場所で撮るのが好きなのですが、超高感度で撮影しても満足のいく結果が得られました。シャッター音も静かで、その場の雰囲気を壊しません。今まで使ったカメラの中で一番良かった」と述べ、気に入った様子でした。
著者プロフィール
武石修
1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。