Appleは11月6日 (米国時間)、同社のWebサイトの「プライバシー」ページをリニューアルした。iOS 13やwatchOS 6、macOS Catalinaで強化された内容を含むアップデートであり、4年連続となった今回のアップデートでは、アプリ別に分けた概要ページを採用。昨年よりも読みやすく、分かりやすくなった。

  • 2019年版のApple「プライバシー」ページ

    「Safari」「マップ」「写真」「メッセージ」「Siri」「Wallet/Apple Pay」「ヘルスケア」といったユーザーが毎日使うアプリからAppleのプライバシー保護の基本を説明

数年前に時計の針を戻すと、データ収集がイノベーションを加速させるというのがシリコンバレー企業の風潮であり、プライバシー保護の徹底を声高に訴えるAppleのような企業は数少ない存在だった。それが、Facebookのユーザーデータ流用の問題で風向きが変わった。人々がプライバシーに敏感になって、プライバシー保護への要求が高まり、今ではどの企業も「プライバシー重視」を掲げている。しかし、重視する姿勢は同じでも、例えばGoogleは広告配信も考慮しなければならないなど、プライバシー保護の取り組みは様々だ。

それが「プライバシー」ページに現れており、GoogleのNestのプライバシー・ページはユーザーの懸念に対して丁寧に説明するようなページになっている。AmazonのAlexaおよびEchoのプライバシー・ページは、もっと直接的にユーザーの懸念の払拭を試みるFAQ形式だ。それらに比べると、Appleのページはユーザーへのメッセージに近い。例えば、Safariの欄でまず「追跡者からあなたを守ります」と示し、メッセージでは最初に「メッセージを見られるのは送った人と送られた人だけ」と明言、その上で各アプリや各サービスで提供しているプライバシー保護の機能や仕組みを掘り下げている。広告やEコマースといったビジネスモデルとのつり合いではなく、Appleがユーザーのプライバシー保護を土台に、欠かせない機能として最初からプライバシー保護を製品に組み込んでいるのが分かる。

今年のプライバシー・ページのSafariの欄では、インテリジェント・トラッキング防止、ソーシャルウィジェットの追跡防止、フィンガープリント作成の防止などを解説している。プライバシー保護にはユーザーが気づかないところで機能し始めている機能も多いが、毎年アップデートされるプライバシー・ページを通じて、ユーザーはAppleの新たな取り組みや機能にキャッチアップできる。また、透明性を示す場にもなっており、今年の場合、論争になったSiriのユーザー音声サンプル問題への対策内容がアップデートされている。

他にも、2019年版のSafariのプライバシー、2019年の位置情報サービス、iOS 12.3のセキュリティのホワイトペーパーを追加、「Appleでサインイン」の技術概要など、より深く調べたい人のニーズを満たす資料も用意している。