リコーとJAXA(宇宙航空研究開発機構)が共同開発した小型全天球カメラが、宇宙船外で360度の全天球静止画・動画の撮影に成功。10月17日にその撮影データが公開された。
公開された360度全天球静止画・動画のデータは、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」船外実験プラットフォームで撮影されたもの。JAXAが運営する「JAXAデジタルアーカイブス」(JDA)と、リコーが運営するサイト「THETA LAB」で公開されており、THETA LABではWebブラウザ上から360度全方位をマウスなどで操作して自由な視点で見ることができる。また、VRゴーグルなどを使うと、臨場感あふれる全天球イメージで宇宙空間を疑似体験することが可能だ。
撮影にあたり、リコーとJAXAは、リコーの360度全天球カメラ「THETA」シリーズをベースに、宇宙空間の温度や放射線など、過酷な宇宙環境に耐えられるカメラを共同開発。宇宙空間(宇宙船外)で360度全方位を一度に撮影でき、カメラのサイズや重量を抑えながら、多くの視覚情報を得られるとする。
カメラの大きさは130×44×22.9mm(縦×横×厚さ)、レンズ部を除く厚さは17.9mmで、「宇宙で使われる世界最小の360度カメラ」としている。民生品の360度カメラで、宇宙船外において全天球型の撮影を行ったのは国内で初めて。
このカメラは、JAXAとソニーコンピュータサイエンス研究所が共同開発した、小型衛星光通信実験装置「SOLISS」の2軸ジンバル部の動作確認用モニタカメラとして採用されており、きぼうの船外実験プラットフォームにある中型曝露実験アダプター(i-SEEP)に設置されている。