Appleが直営店で提供している無料ワークショップ「Today at Apple」において、この夏にアートと拡張現実 (AR)をテーマとした新しいセッションの提供を開始する。New Museum (of Contemporary Art)とパートナーシップを組んで7人のアーティストを選出、AR技術を駆使した新しいアートを体験し学べるセッションを共にキュレーションした。新セッションは8月10日からグローバル規模で開催され、各セッションの詳細やスケジュールなどはToday at AppleのWebサイトで確認できる。
New Museumは、ニューヨークのロウアーイーストサイドにある。刺激的で冒険心に溢れ、また多様性に富んだプログラムで評価されるモダンアート専門のミュージアムだ。テクノロジーの活用にも積極的で、アートとテクノロジーの融合で先頭に立つ美術館の1つである。独創的で非現実感に満ちた空間、ユニークなアート体験から「ニューヨークを訪れるべき理由」の1つに同美術館を挙げる人も多い。そのNew Museumがキュレーションしたプログラムを、Today at Appleセッションという形で、世界各地のApple直営店において体験できる。モダンアートに興味を持っている人なら、それだけでも魅力あるプログラムと言える。
新セッションのために、New Museumは、ニック・ケイヴ、ナタリー・ジュールバーグ&ハンス・バーグ、チャオ・フェイ、ジョン・ギオーノ、カールステン・ヘラー、ピピロッティ・リストなど7人のアーティストに参加を要請した。ファブリックスカルプター、パフォーマンスアーティスト、アニメーター、音楽家、マルチメディアアーティスト、詩人、ビデオアーティストと、それぞれ表現の方法が異なり、ルーツも多様だ。そんな様々な背景を持つアーティストが取り組んだARアート作品を体験できる。
新しいセッションは、[AR]Tウォーク、[AR]Tラボ、[AR]T in the Apple Storeの3つ。[AR]Tは「アート」のスペルだが、「エー・アール・ティ」と読む。
[AR]Tウォーク:New Museumとの共同開発による拡張現実 (AR)
Today at Appleで人気の高い体験型ウォーク・セッションのAR×アート版。サンフランシスコ (Appleユニオンスクエア)、ニューヨーク (Apple Fifth Ave)、ロンドン (Apple Convent Garden)、パリ (Apple Marche Saint-Germain)、香港 (Apple Causeway Bay)、東京 (Apple新宿)で開催される。
iPhoneを手にストアの外に出て、[AR]Tウォーク・アプリを通して見る街の中でアーティストの作品に触れる。例えば、リストの作品「インターナショナル・リキッド・フィンガー・プレイヤー」は、街の中にキラキラとした雲のようなものが浮かび、それをつかまえようと駆け寄ると、弾んだり、あざけるように反応したり、時には歌い出す。ヘラー作品の「スルー」は遠近感のない世界への入り口に参加者を誘う。
同じ作品であっても、作品を見る街や場所、見る時間によって作品の体験は変わる。選ばれた7人のアーティストの大半は今回初めてARに取り組み、自身のテーマの新たな表現に挑戦したそうだ。ARを駆使することで、アーティストは従来の手法では表現しきれなかった動きや感情を作品に込められる。そしてAR作品ならではのインタラクションを通じた鑑賞者とのつながりが新たな価値を生む。常に変化する作品から、参加者はそれぞれ作品に自分だけの価値を見いだし、自分なりの作品体験を作り出していくことで、自分も1人のアーティストであるように感じられる。
[AR]T in the Apple Store
Apple直営店でニック・ケイヴの作品「Amass (集積)」を体験できるインスターレーション (空間を1つのアート作品として表現)。「Apple Store」アプリの[AR]Tビューアーを通して見ると、店内がポップでポジティブなエネルギーに溢れる空間に様変わりする。「Ikon Elements」と呼ばれる大量のオブジェを動かしながらインタラクティブに楽しめる。
[AR]Tラボ:拡張現実を体験しよう
Today at Appleにおいて、実践的なテクニックを学べるラボ・セッションも用意された。ニューヨーク在住のアーティストで、New Museumの文化面のインキュベーター、そして教育者であるサラ・ロスバーグと共に制作した。Swift Playgroundsを使う90分間のセッションでは、ロスバーグがデザインしたユニークなオブジェクトと没入感のあるサウンドを素材にAR体験のプログラミングに挑戦する。