5Gではどうなる? IIJが考えるeSIMの未来とは

続いて木野純武氏より、「eSIMプロファイルの取り扱いと今後の展望」として、IIJが今後eSIMビジネスをどのように展開していくかの展望が語られた。基本的には前の圓山氏のセッションを引き継いだ内容だ。

  • これまでもIIJmio meetingでDSDSの話(#17)やフルMVNO(#21)など、何度か登壇されている木野氏

まず、eSIM事業自体はIIJのようにフルMVNO化せずとも、他社からプロファイルを卸してもらったり、他社のプラットフォームを間借りして提供することは可能だったと振り返る。しかしIIJとしては、自社でプロファイルを設計できることと、プラットフォームの運用事業者であることを生かしたビジネス展開を考えているという。

  • 実際にeSIMサービスをプラットフォーム間借りのかたちでスタートした業者もあるが、IIJとしてはプラットフォーマーとしての立場を最大限に生かした戦略を取る

この後、各OSのeSIM対応について触れてから、将来の事業展望に話題が移る。フルMVNOとして、加入者情報管理装置(HSS/HLR)とSIMの発行能力を持つIIJは、今後プライベートLTEやローカル5Gといった自営無線系のサービスに対してプロファイルを設計・提供したり、認証用にeSIMプロファイルを利用する、MVNEとしてeSIMプロファイルを卸す、といった事業展開が可能になる。IIJとしては新たなビジネスチャンスに繋げる好機だ。

  • 近年話題となっているプライベートLTEやローカル5Gなど、プライベートなネットワークをWi-Fiではなく広域通信技術で構築するような仕組み作りの中で、eSIMのプロファイル設計ができることが武器になる

ちなみに5Gの話題としては、SIMカードには5G向けの定義も用意されており、eSIMも5G時代に向けてプロファイルの再設計がいずれ必要になるだろう、とのこと。ただし、5Gネットワーク自体の情報がMNOからほとんど出てこない現時点ではまだ何もできないそうで、5G向けのeSIMサービスの提供はしばらく先になりそうだ(そもそも、いつ5GがMVNOに提供されるかも不明なのだが)。

  • 5Gについてはまだまだこれからのようだが、SIM側の仕様が策定されつつあるなど、着実に5G時代は近づいている

最後に、IIJとしてはeSIMプロファイルの提供事業者として業界の競争と発展に貢献するとともに、eSIM対応端末の普及やパートナー企業との連携も推進していきたいとまとめていた。eSIM対応端末についてはiPhoneの対応が市場的に非常に大きいとのことだが、Androidもバージョン9.0(Pie)で正式にeSIMをサポートしたので、これからSIMフリー端末を中心に対応端末が増えることを期待したい。国内メーカーにも対応を強くお願いしたいところだ。

セッション2、3とも、これまでのIIJmio meetingなどで公開された情報を振り返りつつ、最新情報も加えて、サービスイン直前の復習として最適な内容だったと言える。毎回のことだが、なかなかユーザーには見えない、システムの深いところまで突っ込んで紹介されるIIJmio meetingは、通信マニアならずとも大変勉強になる。

次回の#25は10月19日(大阪)、10月26日(東京)で開催予定。内容は9月中旬発表予定とのことだが、次回も興味深い話が聞けることは間違いない。ネットでの同時中継も行われるが、IIJmioユーザー以外も参加可能なので、余裕のある方はぜひ現地への参加をおすすめしたい。