象印マホービンは6月5日、同社の人気圧力IH炊飯ジャーのフラッグシップモデル「炎舞炊き」新モデルのプレス向け説明会を開催しました。会場で注目を集めたのは、炊飯器としては珍しい4合タイプの「NW-ES07」。このほか炎舞炊き初代モデルから、より炊飯プログラムが進化した5.5合タイプ「NW-KB10」と一升タイプ「NW-KB18」の説明や試食デモンストレーションもありました。
3モデルとも価格はオープン。4合タイプ「NW-ES07」は7月21日発売で、推定市場価格は10万円前後(税別)。5.5合タイプ「NW-KB10」は6月21日発売で、推定市場価格は12万円前後(税別)。一升タイプ「NW-KB18」は6月21日発売で、推定市場価格は12万5,000円前後(税別)。カラーは、4合炊き「NW-ES07」が濃墨(黒)、「NW-KB」型は黒漆(黒)と雪白(白)があります。
そもそも炎舞炊きの「スゴさ」とは
炎舞炊きシリーズ最大の特徴ともいえるのが「ローテーションIH構造」です。炎舞炊きシリーズは、IHによる加熱方法を採用しています。IHとは、針金をらせん状に巻いたコイルから発生する磁力線によって、釜などを直接発熱させる加熱方法。一般的なIH炊飯器は、基本的に本体底部に同心円状にグルグルと巻いたコイルを配置しますが、炎舞炊きは複数のパーツに分かれたコイルを配置しており、それぞれのコイルを独立制御できます。
コイルを複数エリアに設置し、それぞれ独立制御するメリットのひとつは、集中加熱するエリアを次々と変えることにより、炊きムラを抑えられることです。よく「おいしい炊飯」の理想形としてかまど炊きがあげられますが、かまどの炎はメラメラと揺れるのが特徴。加熱中は釜底のさまざまな場所を部分的に集中加熱することになります。これにより、釜のなかには温度差が生まれるため、複雑で激しい対流が起こり、炊きムラのない炊飯が可能になるそうです。ローテーションIHは、かまどの「炎のゆらぎ」を再現しました。加熱する釜底のエリアを次々と切り替えることで、釜のなかで激しく複雑な対流を起こします。
ローテーションIH構造は、従来までの「なべ底全体を加熱」するIH方式よりも、加熱エリアの火力が強いのも魅力。単位面積あたりの火力は、南部鉄器を採用した圧力IH炊飯ジャーの従来モデル「極め羽釜(NW-AT10)」と比べ、約4倍以上にアップしているといいます。
象印の2017年までのフラッグシップ炊飯器は、内鍋に「南部鉄器」を用いていました。鉄はIHとの相性がよく、IH加熱時に高い発熱効率を発揮します。また、鉄は炊飯に重要な「蓄熱性」の高さにも定評があります。一方でデメリットとして、鉄は熱伝導性があまり高くありません。熱伝導性が低いと、釜が温まるまでに時間がかかり、短時間で加熱エリアを切り替える「ローテーションIH構造」には向いていないのです。
そこで炎舞炊きシリーズは、「豪炎かまど釜」と呼ばれる内鍋を採用しました。豪炎かまど釜では、熱伝導率の高いアルミと耐久性の高いステンレス層に、発熱効率と蓄熱性の高い鉄を組み込みました。多層素材により、発熱効率と蓄熱性、熱伝導率のバランスがとれた内釜になっているといいます。
少人数家庭に最適、4合炊きタイプが登場
今回の説明会で注目されたのは、なんといっても4合炊きの「NW-ES07」です。現在、日本の炊飯器の多くは「3合炊き」「5.5合炊き」「1升炊き」の3タイプ。「4合炊き」タイプの炊飯器はほとんどありません。
象印によるとこの数年、炊飯器全体の出荷台数は落ちているものの、3合炊きなど小容量炊飯器の出荷数は増えています。小容量の炊飯器を購入した人に実施したアンケートでは、購入理由として「本体の大きさがコンパクトだったから」、つぎに「普段少量しか炊かないから」が多かったといいます。
象印が一般ユーザーに、「1回あたりの炊飯で何合炊くのか」とアンケートをとったところ、約96%が4合以下と答えています(中央値は2合)。そこで「NW-ES07」は、一般的な小容量タイプよりも多く炊飯可能な「4合炊き」ながら、(他社を含めて)3合炊き炊飯器と同等の本体サイズを実現しました。
たとえば子どもが一人立ちして実家を出て行ったから普段は2合しか炊飯しないけれど、夏休みやお正月に子どもが帰ってくると3合じゃ足りない……そんな家庭にぴったりな一台ではないでしょうか。