KDDIが2019年のau夏モデル発表会を開き、新料金プランやスマホ新機種を発表した。6月より始まるNTTドコモの新料金プランに対して、全面対抗する形として、話題になっている。
KDDIの発表スライドには「月額1,980円から」「最大4割値下げ」と威勢の良いフレーズが並んでいる一方、「分かりづらい」「安くない」との声も上がっている。その中身はどうなっているのか。
auも「家族割」、分離プランを修正
最近の国内大手3キャリアの料金を理解する上で欠かせないキーワードが「分離プラン」だ。5月10日に電気通信事業法の改正案が成立した。施行が予定されている秋以降、auの「毎月割」のように端末代金と通信料金を一体とした割引が禁止される。
ドコモは4月に発表した新料金プランで、この分離プランに対応した。これに対してauは2017年から分離プランを提供しており、対応済みではあったものの、今回の新料金プランでは「家族割」や「中容量プラン」、「データ無制限」などを採り入れてラインアップを拡充した。
大きく変わったのが家族割だ。これまでauの家族割引は、固定回線とのセットプランしかなく、家族割を割引の中心に据えるドコモやソフトバンクの横に並べた際に、auだけが高く見えてしまう問題があった。
今回auが新たに導入した「家族割プラス」は、同居の家族を基本としており、他キャリアより「家族」の条件は厳しいものの、2人利用で最大500円、3人利用で最大1,000円の割引を実現した。
次に中容量プランの新設だ。これまでのフラットプランは20GB以上の大容量向けだったが、新たに月額5,480円で7GBの定額制が登場。段階制の「新auピタットプラン」と比べて7GB利用時には500円安くなる計算だ。
auによれば、毎月の利用量が1〜7GB未満のユーザーは45%を占めている。7GBを超える容量は、20GBの「auフラットプラン20」や25GBの「auフラットプラン25 Netflixパック」を残す形でカバーしている。
さらにauは、これまでにない新機軸として「カウントフリー」と「データ無制限」を打ち出してきた。これらの特徴についても見ていこう。
SNSカウントフリーやデータ無制限が登場
auの新料金プランでは、7GBのフラットプランに「カウントフリー」が加わった。TwitterやFacebookなどのSNSを利用してもデータを消費しない、SNSの利用が多い人ほどお得になるプランだ。
カウントフリーはネットワーク中立性などの観点から議論になっており、auはこれまで導入に及び腰だったが、「どのSNS事業者ともオープンに話し合う姿勢を取っており、問題ない」との見解を示している。今後は対応SNSの拡大も予定しているという。
さらに「データ無制限」をうたうプランも登場した。ネットワークの状況により速度制限がかかる場合はあるものの、5月15日の決算説明会では高橋誠社長が「3日で6GBの制限よりは緩い」「HD動画は十分に視聴できる」と補足した。
テザリングやデータシェアなどの利用には、スマホからの利用とは別に20GBの枠が設けられている点に注意したいものの、これまでにない大容量通信が可能になる5G時代を先取りしたプランといえる。
これらの新料金プランはすべて分離プランとなっており、「毎月割」の対象外だ。毎月割の適用がある従来プランは8月末まで新規契約を受け付けるものの、今後の端末購入は型落ちの機種などを除けば定価での購入が基本になるだろう。
こうした変化を見越して、KDDIは夏モデルでミッドレンジモデルを拡充。本体一括4万円台という価格帯でありながら、FeliCaを搭載した「Galaxy A30」や、トリプルカメラを備える「HUAWEI P30 lite Premium」をラインアップに加えてきた。
いずれにせよ、9月以降は毎月割を利用した端末の新規購入はできなくなる。特に懸念されるのが、新型iPhoneの売れ行きに与える影響だ。ここにauがどのような対策を打ち出してくるかが、次の焦点になりそうだ。
(山口健太)