ソフトバンクは4月25日、米AeroVironmentとの合弁会社であるHAPSモバイルを通して、HAPS(High Altitude Platform Station)事業を展開すると発表した。HAPSとは、成層圏を飛行する航空機などの無人機体を通信基地局として運用し、空から広域にわたって通信サービスを提供するシステムの総称。

HAPSモバイルは、地上から約20km離れた成層圏を飛行する無人航空機「HAWK30(ホーク30)」を開発した。成層圏の通信プラットフォームとして稼働させる。今後、研究開発やフライトテストを重ね、2023年ごろにHAWK30の量産化、およびサービスの提供を目指す。

  • HAPS

    今回の機体が通信ネットワークを提供できるエリアは、ソーラーエネルギー確保の問題から、赤道を中心に北緯30度、南緯30度まで。そこから、HAWK「30」という名称となった。HAPSモバイルは、北緯50度、南緯50度まで通信ネットワークを提供できる「HAWK50」の開発もすすめている

HAWK30の全長は78mで、翼はソーラーパネルを内蔵し、10個のプロペラを備える。平均時速は約110km。成層圏は年間を通して風が比較的穏やかで、雲よりも高い位置にあるため、太陽光を常時受けられる。ソーラーエネルギーを利用して数カ月ほど稼働でき、その後は地上でメンテナンスを行う。

1基のHAWK30で、地上の直径200kmをカバーする基地局となる。地上の基地局が提供する通信ネットワークとは、干渉しない仕組みになる予定。HAWK30が提供する通信ネットワークは、地上の基地局を経由せず、スマートフォンなどのデバイスでそのまま利用可能。基地局間(地上の通信ネットワークとHAWK30の通信ネットワーク)の切り替えもシームレスに行える。

  • HAPS

    約40基のHAWK30で、日本列島全域をカバー可能

HAPSが提供する通信ネットワークは地上の影響を受けにくいため、大規模な自然災害発生時にも役立てられる。ドローンやIoT、5Gの普及にもつながるとしている。

このほかHAPSモバイルはHAPSを活用し、山岳部や離島、発展途上国など、通信ネットワークが整っていない地域に安定したインターネット接続環境を提供していく。