日本たばこ産業(JT)の加熱式たばこ「プルーム・テック」の新製品が登場しました。従来のプルーム・テックのバリエーションモデル「プルーム・テック・プラス」と、他社と同様の高温加熱式を採用した「プルーム・エス」です。プルーム・テックユーザーの筆者が試した両製品の感想をお伝えします。

  • プルーム・テック・プラス、プルーム・エス

    現行のプルーム・テック(手前)に加えて、プルーム・テック・プラス(左奥)、プルーム・エス(右奥)が登場。スターターキットの税込価格は、プルーム・テック・プラスが4,980円、プルーム・エスが7,980円

国内のたばこ市場は、加熱式たばこが増えてきており、喫煙所でも加熱式たばこのユーザーが目立ちます。国内ではフィリップモリスジャパンのiQOS(アイコス)がトップシェアで、それをJTのプルーム・テックや、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BAT)のglo(グロー)が後を追うという構図。

JTのプルーム・テックは、低温加熱式という手法を採用しています。これは、バッテリーでカートリッジを熱し、カートリッジ内の混合液(グリセリンなどで構成されるリキッド)を蒸気化させ、たばこ葉を詰めたカプセルを通ったニコチン入りの蒸気を吸い込む仕組みです。このときの温度は30度程度とされています。

これに対して、iQOSはたばこ葉を詰めた「たばこスティック」を本体(iQOSホルダー)に差し込み、それを300度程度に熱して発生した蒸気を吸い込みます。こうした違いによって、プルーム・テックはニオイがほとんど発生せず、通常のたばこに対して1%未満のニオイとされています。

実際、たばこを吸わない人もほとんどプルーム・テックのニオイを感じることはなく、周りに迷惑をかけづらい製品です。健康懸念物質も99%以上削減したとされています。とはいえ、周囲の人への影響は研究され尽くしているわけではないので、基本的に紙巻きたばこと同じスタンスで吸うべきでしょう(喫煙スペースで吸う、歩きたばこをしないなど)。

プルーム・テック・プラスの具合は・・・

さて、新製品のプルーム・テック・プラスは、この低温加熱式を採用したタイプです。バッテリー出力を増加させたほか、たばこ葉を詰めたカプセルのたばこ葉を増量したことで、蒸気が増えてたばこの吸いごたえが向上した、としています。現時点のフレーバー(たばこカプセル×5個、カートリッジ×1本)は、レギュラーが2種類、メンソールが2種類、価格は500円(税込)です。

  • プルーム・テック・プラス

    プルーム・テック・プラスのキット。細長の本体は、バッテリーにカートリッジホルダーとカプセルホルダーを装着し、別売のカートリッジとカプセルを差し込んで使います。カートリッジホルダーも分離しますが、普段の用途で取り外すことはなさそうです。

既存のプルーム・テックに対して、出力増によってバッテリーと本体が太くなりました。長さも増していて、たばこ感覚で手軽に吸うことはできなくなりました。従来はギリギリくわえたばこ(くわえプルーム・テック)もできましたが、プルーム・テック・プラスでは難しいでしょう。

  • プルーム・テック・プラス

    プルーム・テックよりも太く長くなった本体

リキッドが入ったカートリッジも太くなっていますが、大きな変化は完全な液状になったことです。プルーム・テックのカートリッジだと、コットンにリキッドをしみこませた状態でしたが、プルーム・テック・プラスは液体がそのまま入っています。

リキッドの残量がわかりやすくなるというメリットがあり、カートリッジを入れた状態でも残量が見えるようになっています。デザインとしては、JTが海外で販売している電子たばこ「Logic PRO」をベースにしていると思われます。海外では、リキッドにニコチンを溶かして蒸気化して吸う電子たばこが主流ですが、日本では規制のため販売できず、加熱式たばこが一般化しました。

  • プルーム・テック・プラス

    カートリッジホルダーに窓が設けられており、リキッドの残量が確認できます

そのLogic PROを踏襲し、リキッドにニコチンを含まず、たばこカプセルとしたのがプルーム・テック・プラスのようです。いわゆるドリップチップとなるカプセルホルダーに、カプセルを挿して吸うのが異なる点です。

肝心の吸いごたえですが、電子たばこがベースというだけあって、吸い込んだときの蒸気の量は格段に増加しています。実はプルーム・テックは、あまり蒸気の量が一定しません。そのためか吸いごたえが頻繁に変わるのですが、プルーム・テック・プラスはそういうことがないようで、安定して蒸気を吸い込めます。

その結果、たばこカプセルから得られる吸いごたえも増しています。感覚としてはもちろん紙巻きたばことは異なるのですが、たばこを吸い込む感覚は十分に味わえます。

従来のプルーム・テックと比べると、最初に吸うときにボタンを3回連打しなければならない点や、放置して6分たつと再びボタン連打が必要な点は手間ですが、まあ、大きな手間ではありません。

  • プルーム・テック・プラス

    電源となるボタン。吸い始めに3回連打が必要です。途中、短押しするとLEDが光ってバッテリー残量が示されます

プルーム・テックと同様に、一定回数を吸うと電源ボタンのLEDが点滅して蒸気が出なくなり、カプセル交換を知らせる仕組みを備えています。このとき、電源ボタンを長押しすると点滅が止まり、すぐに吸い始められるのはプルーム・テック・プラスのメリットです。プルーム・テックだと40秒間待つ必要があったので、それに比べると待たされずにすみます。

また、際限なく吸い続けられてしまうという欠点というか利点というか、そういう部分は、プルーム・テックもプルーム・テック・プラスも変わりません。一口二口吸ってそのまま本体をしまえる手軽さも従来通り。

たばこカプセルのパッケージは、たばこカプセル×5個とカートリッジがセットになっています。カプセルの交換タイミングは、LED点滅で指示されます。それに従えば、プルーム・テック・プラスのカートリッジは、この1セットを吸いきるまでは持続します。

自分のスタンスや状況に合わせて吸い方(ちょっと吸うか長く吸うか)を変えられるのは、個人的にポイントが高い点です。ニオイがほとんどないのも大きなメリットで、家族が嫌がることがありません。

個人的には、持ち運びに適したプルーム・テックを外出用に、ゆっくりできる自宅ではプルーム・テック・プラスを使う、といった使い分けがよさそうに感じています。