毎年秋の恒例、FileMakerカンファレンスが、2018年11月7~9日に虎ノ門ヒルズ(東京)で開催された。本サイトで既報の通り、初日午後のスペシャルセッションでは、FileMakerが今後目指していく方向性として「ワークプレイス・イノベーション・プラットフォーム 」という新しいカテゴリーの考え方が、米FileMaker Inc. プラットフォームエバンジェリズム担当ディレクターのアンドリュー・ルケイツ氏から説明された。
これを受けて、ファイルメーカー社社長のビル・エプリング氏、アンドリュー・ルケイツ氏、米FileMaker Inc. ワールドワイドマーケティング担当バイスプレジテンドのアン・モンロー氏、ファイルメーカー社 North Asia Sales Directorの日比野暢氏に話をうかがった(以下、敬称略)。
日本での更新率も高く、十分な価値を提供していると分析
-- マイナビニュースのインタビューは、2018年5月のFileMaker 17プラットフォームの発表以来です。そこでまず、この半年間のビジネスの状況を聞かせてください。
エプリング たいへん順調です。9月末が会計年度の終わりだったのですが、グローバルでは2桁成長を達成しました。商品も戦略もうまくいっていると思います。日本でももちろん順調です。特にアニュアル(年間)ライセンスプログラムは前年比で30%増となっていて、これはサブスクリプションを増やすという方針に合致するものです。日本はライセンスプログラムの更新率も高く、最初に買ってから継続して使っていただいていると言えます。日本では新しいプログラムや新しい製品が好まれる傾向もあります。
-- バージョン17の登場時に、製品構成と価格に関して批判的な見方がありました。たとえばデスクトップ版の製品としてFileMaker Proがなくなって、より高価なFileMaker Pro Advancedだけとなりました。またファイルメーカー社サイトのユーザライセンスに関するFAQに「お客様により、値上げとなる場合もあれば、値下げとなる場合も有り得ます」とあるように、料金が上がってしまったという声を聞くこともあります。これについてはどう考えていますか?
エプリング 課題があることは認識しています。しかし私たちは、現在の構成はお客様にとってメリットがあると考えています。また、これから使い始める場合のエントリーレベルの価格は上がっていません。全体として、十分な価値を提供していると考えています。
あらゆる仕事の課題を解決するプラットフォーム
-- 今回のカンファレンスで、「ワークプレイス・イノベーション・プラットフォーム」という新しいカテゴリーが紹介されましたね。
ルケイツ 新しいカテゴリーの定義には数年前から取り組んできて、今年、公式に発表しました。調査などももちろんしましたが、最終的に、私たちが取り組むべきは「Who is the customer?(お客様は誰なのでしょうか?)」と「What's the problem?(どんな課題があるのでしょうか?)」であると思い至りました。FileMakerを使うお客様の職場はさまざまで、特定することは難しい。しかしFileMakerのお客様に共通しているのは、知性がありクリエイティブで、ある意味根気強くなく、そして問題を解決したいと思っているということです。そこで「Work(仕事)」にフォーカスすることにしました。
-- 「ワークプレイス・イノベーション」は、あらゆる仕事の場におけるイノベーションということですか?
ルケイツ そうです。あらゆる職場で、またどんな場所かに関わらず、仕事の課題は共通です。その課題とは、型にはまった現在の仕事のやり方はもう限界に達し、働く人々がフラストレーションを感じているということです。アプライアンスApp(たとえばメールアプリなど、特定の仕事に特化したアプリ)を使ったワークフローの定義には無理があり、情報が分散しています。そこで、お客様が自分たちのために、自分たちでAppを作って使えるプラットフォームを提供していきます。