キヤノンの「EOS Kiss M」は、人気ブランド「EOS Kiss」シリーズでは初となるミラーレスカメラです。これまでのデジタル一眼レフのEOS Kissシリーズと比べ、ミラーレス化したことで何がどう変わったのかでしょうか?
外観やAF(オートフォーカス)、連写などに関して、既存の一眼レフ「EOS Kiss X9」と比較してみました。
一眼レフのEOS Kiss X9のほうがグリップしやすい
まず、今回比較する2台の基本的な仕様を確認しておきましょう。「EOS Kiss X9」は、2017年7月に発売されたエントリー向けの一眼レフカメラです。ひと足先に発売された「EOS Kiss X9i」(デジタルカメラのEOS Kissシリーズでは11代目)と同等のセンサー(撮像素子)や画像処理エンジン「DIGIC 7」を搭載しながら、連写やAFなど一部のスペックを抑えることでいっそうの小型軽量化を図っています。発売時のニュースリリースでは「可動式モニターとAPS-Cセンサーを搭載したデジタル一眼レフでは世界最軽量」とうたっています。
いっぽうの「EOS Kiss M」は、2018年3月に発売されたエントリー向けのミラーレスカメラです。キヤノンのミラーレスとしては8作目であり、ミラーレスで初めて「Kiss」のブランド名を採用。ラインアップ上の位置付けは、上位モデル「EOS M5」や「EOS M6」のひとつ下になりますが、最新のエンジンやAFシステムを搭載するなど、スペック的には上位機に勝る面も少なくありません。
この2台を、それぞれのキットレンズを装着した状態で見比べると、サイズと重量はEOS Kiss Mのほうがひと回り以上も小さく軽いことがわかります。EOS Kiss X9は、歴代の一眼レフEOSのなかでも1、2を争うコンパクトさを誇りますが、それでもEOS Kiss Mを手にしたあとでは大きく感じてしまうほどです。
ボディーの形状は、両モデルとも緩やかなカーブを多用した曲線的なデザインです。EOS Kiss X9はボディーに厚みがある分、より丸っこく、ずんぐりと可愛らしい印象を受けます。EOS Kiss Mは、そこからぜい肉を削ぎ落としたようなシャープなスタイルです。
外装は、どちらも樹脂素材。高級感は特になく、価格相応の質感といえます。
ホールド感については、グリップに厚みがある分、EOS Kiss X9のほうが良好です。EOS Kiss Mは、持ちにくいほどではありませんが、筆者の大きな手では少し小さすぎるように感じます。
外観についての比較をまとめると、携帯性ではEOS Kiss Mの圧勝、外装の質感は互角、ホールド性ではEOS Kiss X9が有利といったところです。