トレンドマイクロは28日、2018年の事業戦略を発表した。同社は2020年までにIoTデバイスが約204億台まで増加する(2017年2月のGartner発表による)と想定しており、コンシューマ向けには、IoTデバイスおよび、ホームネットワークへの脅威対策を強化していく。

  • トレンドマイクロ取締役副社長の大三川彰彦氏

家庭でもIoTデバイスの普及が進む

Google HomeやAmazon Echoに代表されるスマートスピーカーの普及が進んでいる。下は数千円程度と入手しやすいこともあり、一般的な家庭でもスマートスピーカーの導入や、加えてスマートTV、Webカメラなど、インターネットにつながる機器の導入が広がるにつれ、それらがサイバー攻撃の踏み台として使われるなど、脅威にさらされる危険性も高まっている。

  • トレンドマイクロが目指す日本市場でのビジネス戦略

一方で、ホームデバイスを取り巻く脅威に対し、ユーザー側の対応が追いついていないことを、トレンドマイクロでは懸念している。トレンドマイクロ製品を使用するユーザーを対象とした同社の世界統計データでは、ホームネットワーク内デバイスへの不正アクセスを2017年の1年間で3,000万件以上確認したという。加えて、インターネットにつながるデバイスが増大しているため、ユーザー側でも、いったいどのデバイスがネットにつながっているのか管理できなくなる可能性もある。

これを踏まえ、トレンドマイクロでは新しい領域でユーザーとのタッチポイントを増やし、家庭内セキュリティに関する意識を高める考えだ。

具体的には、量販店やキャリアとの提携を進め、ホームネットワーク向けセキュリティ製品の売り場拡大を図る。量販店での売り場・販売製品に適したセキュリティ製品の訴求は、すでにヨドバシカメラやビックカメラ、ジョーシンなどで施策を進めているが、さらに最適化を進めるという。

家電量販店ではPC関連売り場に加え、特にスマートスピーカーやスマートTVを中心としたスマート家電売り場で、ソフトウェア製品「ウイルスバスター」や、ハードウェア製品「ウイルスバスター for Home Network」の訴求をを進めていく。

  • 一般的なユーザーを取り巻く概況。狙われるIoTデバイスは増えるが管理しきれない自体になりかねないとする

セキュリティを"インフラとして"提供

また、次世代通信システム「5G」の商用展開を控え、キャリアと連携し、モバイル回線を通じたホームネットワーク向けセキュリティも提供するという。具体的なキャリア名は明かされなかったが、大手通信事業者と実際に話が進んでいるという。

すでに複数のキャリアでは、スマートフォンやタブレット製品を対象としたセキュリティサービスを独自で提供しているが、トレンドマイクロでは、ペアレンタルコントロール機能なども含めた「ホームネットワークの保護」を目的とすることで、キャリアが現在提供しているセキュリティサービスとは競合しないと考えている。

「競合ではなく、お互いに(セキュリティ面で)不足している部分を補い合う関係になるだろう。加えて、トレンドマイクロの技術はバックグラウンドで提供されるため表には出ない。キャリアとは一緒にやっていく形になる」という(大三川氏)。キャリアのサービスとして提供されるため、価格もキャリアが決定するという。

このほか、AIを活用した脅威分析を行い、脅威の予防と早期発見を目的に、より積極的なサポートサービスの提供も目指す。同社は「セキュリティ製品をインフラとして提供する」と強調。ユーザーが意識しないバックグラウンドで適切に脅威を退ける役割を担っていきたいとした。

  • IoT時代に求められるセキュリティ。ユーザーが意識しなくても、自動的にセキュリティが施される仕組みが大事という