2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化される流れを受け、全国の学校でプログラミング教育が盛り上がりを見せています。和歌山県では2019年度から、県内すべての公立の小・中・高校の400校でプログラミング教育を始めることを発表するなど、今春からはさらにその流れが進むでしょう。

  • 中高一貫の男子校である海城中学高等学校

東京都新宿区の海城中学高等学校も、プログラミング教育に力を入れる学校のひとつ。2017年度から、Z会協力のもとプログラミング講座を開講しており、一学期に「初心者編」、二学期に「発展編」を実施。初心者編では中学2年から高校1年までの生徒を対象に募集したところ、定員40名に対し100名以上が応募するほどの人気講座となりました。

生徒たち自身はプログラミングをどのようにとらえ、取り組んでいるのでしょうか。プログラミング教育の今を取材しました。

発展編の講座では、週に1回80分の講座を全8回実施。初心者編に参加した生徒のうち16名が発展編を受講しました。Appleのプログラミング言語「Swift」とソフトウェア統合開発環境の「Xcode」を使い、iMacでアプリを開発します。

  • コンピュータ教室でプログラミング講座の成果報告会に参加する生徒たち

生徒たちによる成果報告会では、自身が開発したアプリの使い方や工夫点をプレゼンテーションしました。ある生徒は、読んだ英単語の数を記録でき、その数が増えるごとにイラストが変わっていくアプリを発表。

  • 英単語を覚えた数に合わせ、博学なイラストに変化していく記録アプリ

他にも「ラブコメを経験したかったから」とラブコメがテーマのすごろくゲームアプリ、隠しボタンを散りばめたクイズ&謎解きゲームアプリ、四目並べゲームアプリなど、発想豊かなアプリが次々と披露されました。

  • 中高生男子ということもあり、ゲーム系のアプリ開発が人気でした

中学3年生の生徒が開発したオセロゲームアプリは、完成度の高さ、熱意の高さから、Z会が選ぶ最も優れたアプリに選ばれ、特別賞と副賞のノートが贈られました。

  • 最後に特別賞が贈られたオセロゲームアプリ。一般的なオセロゲームと遜色がなく、完成度の高さが評価されました

受講生のほとんどがコーディングが初体験だったこともあり、生徒たちは「時間が足りなかった」「理想とする完成形のレベルが高すぎた」と課題を挙げます。ある生徒も、初心者編でAppleのプログラミング学習アプリ「Swift Playgrounds」で知識を学んだものの、実際にコーディングするのは難しかったといいます。

しかしそれでも「プログラミングは楽しい!」と目を輝かせます。「エラーが出るとイライラするし、一つのエラーの対処に4時間かかったこともあった。だけど処理するたびに構文が自分のものになった気がして、それが気持ちよかったです」。

  • 人狼ゲームアプリの開発に挑戦したチームは、はじめに紙に構成を書き出してコーディングしていったそう