2017年も多くの愛すべきデジタル製品が登場しました。マイナビニュースでは、デジタル業界に造詣の深いライター諸氏による年末特別連載「2017年ベスト買い物」を12月末まで随時掲載していきます。今年、実際に購入した製品のなかで最も「買ってよかった! 」と思ったものを紹介する本企画。第9回は、アメリカ・シリコンバレーを拠点とするライターのYoichi Yamashitaさん。2017年ベスト買い物は、首にかけるワイヤレススピーカー「Bose SoundWear Companion speaker」(ボーズ製)です。


  • Bose SoundWear

    SoundWearは重量が約266g。手に持つと思った以上の重みを感じます。でも、首にかけた時に重さが気になることはなく、長時間使えます

独自の基準で音を追求するボーズ。キューブ型の小型スピーカーだったり、ノイズキャンセリングヘッドホンだったり、新しいオーディオを楽しむスタイルも含めて製品を作り上げるユニークなメーカーです。そんなボーズが2017年に投入した新製品が「SoundWear Companion speaker」。首にかけて使用するパーソナル・ワイヤレススピーカーです。

万人受けはしません。でもとても良いです

大事なことなのでまず言っておくと、万人受けする製品ではありません。ユーザーを選びます。どのくらいの市場を開拓できるのか、ボーズも不確かなようで、今のところ日本未発売です。でも、私の周りで「こんなスピーカーが欲しかった」と思って買った人は、私を含めてみんな絶賛しています。

SoundWearがフィットするのは多画面な人です。私も以前は「映画やドラマは大画面で」という人でした。が、NetflixやAmazonプライムビデオ、iTunesで映画やドラマを楽しむようになると、空いた時間にスマートフォンやタブレットで見ることが増え、大画面にこだわるより「多画面の方が便利」と宗旨替えしてしまいました。最近ではテレビの地上波放送を見るときもソニーの「PlayStation Vue」や「YouTube TV」といったストリーミングサービスに切り替えており、我が家はすっかり多デバイス環境です。

そうなると、家族がそれぞれのデバイスで違うチャンネルの番組を見ていたり、子供はテレビでゲーム、1人は料理しながらポッドキャスト、1人はタブレットで映画なんてことがめずらしくありません。ただ、画面は別個でも、サウンドが衝突するのが悩みどころ。テレビ以外はヘッドホンを使うことが多く、ワイヤレスで動きやすくなったものの、「毎回ヘッドホンというのもなぁ~」という感じでした。

  • Bose SoundWear

    装着時にはオーバーヘッド型ヘッドホン並みに目立ちますが、伸縮性のある付属カバーを付けて使えばファッション的にも大丈夫

音を身にまとっている感覚

SoundWearを初めて試した時に驚いたのは、パーソナルな範囲で広いサウンドフィールドを得られるようにしっかりとチューニングされていること。耳に向かって配置されたスピーカーとネックバンド部分の音響効果が作用して、小さな音量でバランス良く、しっかりと響きます。低音には深みがあり、ボーズらしいナチュラルなサウンドです。これがただ単にBluetoothスピーカーを首かけデザインにしただけだったら購入していなかったと思います。

  • Bose SoundWear

    カバーを外した状態。バッテリー動作時間は最大12時間、充電時間は約3時間ですが、15分の充電で最大3時間使用できます

首かけ専門のパーソナルスピーカーということで、スピーカーですが複数人で楽しむことはできません。首にかける以外では、たとえば机の上にSoundWearを置いても乏しい音にしかなりません。音量を上げてみてもひどいサウンドになるだけです。

その代わり、首かけ状態で映画を迫力あるサウンドで楽しめるぐらいの音量にしても、音が部屋中に鳴り響くようなことはありません。首かけだから、場所を移動してもオープンなスピーカーサウンドがついてきます。「SoundWear」という名前の通り、サウンドを身にまとっている感覚です。なので、最近は自宅でSoundWearを首にかけっぱなしにして、PC / スマートフォン / タブレットを切り替えつつ、仕事中に音楽を再生したり、掃除しながらポッドキャストを聞いたり、YouTubeや映画などを見たり、ということも少なくありません。

  • Bose SoundWear

    SoundWearはIPX4準拠の防沫性能を備えます。大きなボタンが採用されているので、カバーを付けた状態でも迷わず操作できます

先端的、なのにmicroUSB

ボーズは「QuietControl 30」というネックバンド型のヘッドホンを出しているだけあり、首かけスピーカーでも完成度の高いデザインに仕上がっています。

難点を挙げるなら、充電しにくいこと。むき出しだと装着したときに目立つので付属のカバーを使うのがオススメなのですが、カバーをすると充電の度にファスナーを開いてUSBポートにアクセスしなければなりません。加えて、USBポートがmicroUSBです。ボーズは新しいテクノロジーに敏感なのか、鈍いのか……。個人的には早くUSB-Cで統一したいのに、ボーズ製品が残り少ないmicroUSB製品になってしまっています。

  • Bose SoundWear

    USBポートがカバーに覆われているため、充電の度にカバーを開いてmicroUSBプラグを接続しなければなりません

日本でも発売してほしい

この12月にはGoogleが「Home Max」を発売し、来年はAppleが「HomePod」を投入します。個々のユーザーや環境に合わせてインテリジェントにサウンドをとどけるスピーカーがこれから注目されそうです。SoundWearはスピーカーを肩に乗せるという力業なソリューションではありますが、モバイル時代のスピーカーの一つとして日本市場にも投入して欲しいと思います (ちなみに日本語のマニュアルはすでに用意されています)。

製品のラブ度 ★★★★★
製品のオススメ度 ★★★☆☆ (合う合わないが極端なので)