もちろん、グーグルも同じ問題を抱えている。Action on Googleで提供されているコンテンツの一覧が、まとまって掲載されていないのだ。グーグルの徳生裕人製品開発本部長は「見やすいリストを公開するように準備を進めている。理想としては、ユーザーがやりたいことに対して、自然な会話でActions on Googleの機能を呼び出せるようにしていきたい」と語る。

Actions on Googleの発表会では「ピカチュウトーク」が一つの目玉として紹介された

そもそも、ユーザーはActions on Googleによってどういった機能が追加され、「何ができるか」を知らない。「ユーザーにActions on Googleでどういった機能が提供されているか」を認知してもらう努力が必要となってきそうだ。また、スマートスピーカーのスキルで見逃されているのが、「話し言葉と書き言葉の違い」だ。今回、アマゾンのスキルのなかには、ニュースサイトの記事を読み上げるものがかなり存在する。

しかし、ネットに上がっている記事をそのまま読み上げると、ユーザーとしては違和感を抱くのではないか。こうしたネット記事は「書き言葉」で執筆されており、しかも「だ」、「である」調で終わるものも多い。記事を目で読むのと、耳で聞くのでは大きな違いがあるはずだ。

新聞記事を紹介するラジオ番組などがあるが、もちろん、新聞の記事をそのまま朗読しているわけではなく、きちんと話し言葉に直して、読み上げているところがほとんどだ。また、単に話し言葉にするだけでなく、耳で聞いて理解しやすい文章に構成し直したりもしている。

Google Homeでも、NHKラジオニュースや日経電子版NEWSは、アナウンサーがニュースを読み上げているので、とても聞きやすいが、ほかのコンテンツでは、記事をそのまま人工音声で読み上げているだけのものもあるようで、書き言葉のせいか、若干、違和感のあるものも目立つ。

アマゾンとしては、自然に日本語を話せるように開発を進め、さらにスキルの数を稼ごうと、数多くのニュースサイトなどに協力を仰いだのだろうが、肝心な原稿が話し言葉になっていないのが盲点となってきそうだ。いずれにしても、アマゾンもグーグルも日本のユーザーが使うことで鍛えられていくことだろう。そのフォードバックを生かして、すぐに製品やサービスを改善できるかが、勝負のポイントとなっていくだろう。