監査法人の表明無き決算に踏み切った

東芝は2016年第3四半期決算を発表した。監査をしたPwCあらた有限責任監査法人からは、意見不表明とのレビュー報告書を受け取った上で、公表に踏み切った形になる。

同社が発表した第3四半期(2016年4月~12月)米国基準の売上高は前年同期比1666億円減の3兆8468億円、営業損益は3444億円減の5762億円の赤字、純損益は531億円減の5325億円の赤字となった。

原子力発電所建設子会社WECTECの新規連結やメモリ、HDDの増収があったものの、円高の影響や構造改革によるパソコン、テレビ事業の事業規模縮小などがによって減収となったという。

営業損益においては、賞与減額などの緊急対策もあり、原子力事業以外についてはほぼすべてにおいて前年よりも改善したものの、原子力事業におけるのれん減損7166億円の計上によって大幅な赤字となった。

延期を繰り返し、三度目の正直となった今回の決算発表を一旦の目処とできるか。東芝本社で会見する綱川智社長

今回の一連の決算延期は、2016年12月に発覚した同社の子会社であったウェスチング社(WH社)の巨額の損失から始まる。その調査の過程で、WH社によるCB&Iストーン・アンド・ウェブスター社の買収に伴う取得価格配分手続の過程に関連して、一部経営者による不適切なプレッシャーの存在を示唆する情報が寄せられ、さらなる調査が必要になった。同社は外部の弁護士事務所などを起用して、プレッシャーの有無と、会計への影響を調査していた。

監査法人による評価が結論に至らなかった理由は、上記の調査が終了していないと認識していることによる。

同社の監査委員会は、WH社における損失の調査結果を同時に発表した。2016年12月にこの損失を認識したとしていたが、この損失を認識する時期について問題となる証拠は発見されなかったと結論付け、さらに会計額への影響は確認できなかったとしている。ただ、調査の過程で一部の経営者によって不適切なプレッシャーがあったことは確認でき、この経営者をWHの経営に関与させないなど抜本的な措置を講じることを執行側に要請、改善措置の実施を確認しているとしている。