さて、肝心の使い心地ですが、拍子抜けするほど現代的です。本製品のキーピッチは16mm、キーストロークは4mmで、メカニカルキースイッチとしては「青軸」(CHERRY MX互換)を採用しています。押し込み感は軽く、そしてクリック感も明快です。もちろん茶軸、黒軸、青軸、赤軸、白軸などなどメカニカルキースイッチには多くの種類があり、人それぞれ好みが異なるのは重々承知していますが、タイプライターの打ち心地を再現するためには「青軸」は悪くない選択だと感じました。

私の手の長さは約20センチと少し大きめですが、キーピッチが16ミリ確保されているおかげで、タイピングしていて窮屈さはまったく感じません

キースイッチはCHERRY MX互換の青軸。キーとキーの間にすき間があるのでキートップは簡単に取り外せます。メンテナンス性はよいですね

ただし購入を前のめりに検討されている方によく理解していただきたいのが「青軸」ならではの打鍵音です。「青軸」はCHERRY MXメカニカルキースイッチのなかでも、特に打鍵音が大きいという特徴があります。タイプライターの使い勝手を再現するためにあえて「青軸」が採用されているわけですが、オフィスなどで使う場合には周囲への配慮が必要かも知れません。

この動画では、前半は軽く底打ちするぐらいの力で、後半は強めに底打ちするぐらいの力でタイピングしてみました。自分で文字入力しているときにはそれほど耳障りではないですが、高めの打鍵音なので耳に入りやすいです

また、個人的に一番気になったのがキーボードの角度。「QWERKYWRITER」には実測3.6度ほどの角度がつけられているのですが、キートップが全体的に高いぶん、手前のキーが邪魔になって奥のキーが入力しづらいように感じました。普段使っている「HHKB」キーボードが傾斜が強く付いているキーボードなので、もし私自身が本製品を長く常用するなら、キーボードレストと組み合わせて使うことになると思います。

左が「QWERKYWRITER」、右が私の愛用している「HHKB Professional JP Type-S」。両者にはかなり角度差があるので違和感を強く感じました

実売価格5万500円前後とかなりお高いですが、アルミ素材のボディーと銀色に輝くキートップが存在感抜群の「QWERKYWRITER」。近ごろロジクールのBluetoothキーボードなど、複数のデバイスを登録し、ダイヤルやスイッチで切り替えできる製品が増えていますが、「QWERKYWRITER」に登録できるデバイスは一台のみ。それほどコスト増にはつながらないので、今後、もし改良版が出るならデバイスの切り替え機能もぜひ搭載してほしいところです。

今回のレビュー記事では重箱の隅を突きつつも本製品ならではの独特な雰囲気に惹かれたので、自分の多少の好みは引っ込めて、むしろ「QWERKYWRITER」に身体を合わせようという気にさえなりました。実用性を享受しつつ、デスク回りをレトロに演出したい方には絶好の製品と言えるでしょう!