スマートフォンの先駆けとして世界的ムーブメントを起こした「BlackBerry」だが、そのオリジナルコンセプトの系譜を受け継ぐ最後のBlackBerryモデルの製造中止が決定し、歴史の幕を閉じようとしている。調査会社IDCの2015年夏時点でのデータによれば、BlackBerry OSの同時点での世界シェアはわずか0.3%で、「振り向けばBlackBerry」というほどにビジネス市場を席巻していた往年の姿はすでにそこにはない。残念な話ではあるものの、すでにスマートフォンの販売台数は世界人口を突破する水準にまで到達しつつあり、この決定もまた次のステップへ向けた動きのひとつつなのかもしれない。
本件は公式Blogに米BlackBerryデバイス担当ジェネラルマネージャ兼COOのRalph Pini氏名義で公開されている。
同社はBlackBerry 10搭載スマートフォンのフラッグシップモデルとして「BlackBerry Classic」を提供しているが、この製品の製造中止を決定したという。BlackBerry Classicは、QNXを統合する前のBlackBerry OS時代から存在した「BlackBerry Bold」の系譜を継ぐ「QWERTYの物理キーボードが本体正面の多くの面積を専有する」というスマートフォン製品で、iPhoneが市場を席巻するまでは類似製品が多数市場投入されるなど、15年以上にわたって同社の"アイコン"として存在してきた象徴的製品の最新モデルにあたる(当時の社名はBlackBerryではなく、RIMこと"Research In Motion"だったが……)。
とはいえ、BlackBerry Classicの登場は2014年12月であり、入れ替わりの激しいスマートフォン市場全体でのトレンドから考えれば、デザイン的にも製品サイクル的にもすでに"旬"の時期を過ぎているといえるかもしれない。
一方で、BlackBerryは独自のBlackBerry OSではなく、GoogleのAndroidを搭載して"スライド型物理キーボード"を内蔵した「BlackBerry Priv」を昨年2015年11月にリリースしており、今回のPini氏のコメントではこちらの製品には触れられていない。おそらく、当面の主軸はBlackBerry PrivのAndroid系統へと移り、いわゆるQWERTYの物理キーボードとBlackBerry 10を組み合わせたモデルは今回のBlackBerry Classicをもって打ち止めとなるとみられる。なお、同社ではBlackBerry 10のOSサポートについて引き続き行っていく方針を打ち出しており、来月8月には最新のv10.3.3の提供を行う予定だという。物理キーボードとトラックポイントに長年親しんできたファンには残念なお知らせだが、Androidベースのモデルについては間もなく新製品が発表されるという噂もあり、引き続き興味をもってウオッチしてみてほしい。