太陽光発電や風力発電、地熱発電、バイオマス発電など、火力発電などから再生可能エネルギーによる発電への移行が進められている。この移行を加速するために2012年にFIT(固定価格買い取り制度)が導入されたが、環境アセスメントなど課題が多い地熱発電や風力発電に比べ、(稼働までの)リードタイムが小さい太陽光発電に参画企業が集中した。結果、発電バランスが崩れた格好となった。それを少しでも是正できるかもしれない取り組みが日本気象協会からリリースされた。

需要と供給のミスマッチを減らせるか

多くの業者が再生可能エネルギーによる発電で参入する太陽光発電(写真はイメージ:PIXTA)

FIT制度については問題が噴出している。FIT制度認定を受けた発電会社から電力会社が電気を買い取るのだが、その買い取り価格が高額だったため、そのしわ寄せが消費者に転嫁されるのではないかと批判が殺到したこと。発電が未稼働のままの案件が多かったり、保守・点検が不適切だったりといった問題もある。資源エネルギー庁は今年4月にFIT制度見直しの検討状況を示し、こうした問題の是正を図ると報告した。

だが、制度見直しではどうにもならないのが、太陽光発電の不安定さだ。夜間に発電できないのはもちろん、季節、天候にも左右される。

日本気象協会 事業本部 環境・エネルギー事業部 副部長 小玉亮氏

日本気象協会 事業本部 環境・エネルギー事業部 副部長 小玉亮氏は「太陽光発電は明日の発電計画が困難なばかりか、現在の発電量も不明」と太陽光発電が抱える根本的な問題を示した。

こうした問題が引き起こすのが電力の「需要と供給のミスマッチ」だ。太陽光発電の供給が落ちた際は、火力発電などで補わなくてはならない。反対に全国的に天候が安定して太陽光発電の供給量が十分な状態で、火力発電を稼働させた場合、電気を余らせてしまうことが考えられる。これは、エネルギーの無駄だ。

そこで日本気象協会が眼につけたのが衛星を活用した日照量推定システムだ。実は気象衛星「ひまわり7号」の観測データ使って日照量を推定し、配信するシステム「SOLASAT-Now」はすでにあった。これを最新の気象衛星「ひまわり8号」の観測データに置き換えた「SOLASAT-8 Now」を5月に開始。さらに2016年夏までに3時間先までの日照量推定を行う「SOLASAT-8 Nowcast」を開始予定だとアナウンスした。