北海道から沖縄まで店舗を拡大したい

説明会の最後に質疑応答の時間がもうけられた。TELEPODの設置店舗について聞かれると、楠岡氏は「設備投資やロケーションの関係で、サービス開始当初に設置できるのはスペースクリエイト自遊空間 BIGBOX 高田馬場店だけとなる。今後はご理解いただいた店舗に随時、置いていきたい」と回答。また、どのくらいの規模感でVR THEATERを拡大していくかについて聞かれると「北海道から沖縄まで店舗を拡大していきたい」と回答。ただスタッフにはVR GEARの使い方など、事前にレクチャーが必要になる。このため、サービス開始当初は店舗数が限られているとのことだった。

アニメコンテンツ以外の展開について、三代氏は「アーティストのライヴをコンテンツにすればファンに響く」と解説。楠岡氏は「ストリーミングでスポーツを中継するのも良い。2020年に向けて試行錯誤を繰り返していきたい」と回答した。ゲームへの展開について、三代氏は「ゲーム会社さんともよく話をさせていただいている。ゲームコンテンツを展開できるアプリの仕組みも考えていきたい」と回答した。

フォトセッションの様子

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このあと会場では、報道陣に向けて事前体験会が行われた。そこで筆者も360°動画コンテンツを体験してみた。スタッフから簡単なレクチャーを受けたあと、VR GEARとヘッドホンを装着。コンテンツが開始されるのを楽しみに待った。本来であれば、このあと「想像以上にリアリティがあった」「現実の世界を忘れるほど没頭した」といった感想を書くべきなのだが、それは他紙でも書かれることだろう。そこで本稿ではVR THEATERが全国展開する際に課題となりそうなことを考えていみたい

VR THEATERが全国展開する際に課題となりそうなことは?

VR GEARは密着性が高く、しかも不特定多数の利用者が使用する。このため衛生面が気になる人もいるだろう。体験会では目の周りにフェイスマスク(薄い布)を装着。これがすぐにずれるのでストレスになった。またVR GEARの内側に気が付かないうちに水蒸気がつき、映像がぼやけてしまったことがあった。湿気の多いこれからの季節、VR THEATERを提供する店舗では店内の湿気にも細心の注意を払う必要がありそうだ。

また、筆者は運悪く不具合のある端末に当たってしまった。そのため何度も再生をやり直すことになり、視聴を中止するたびにスタッフのお世話になった。聞けば動画コンテンツは早送り、巻き戻しができない仕様とのこと。結果、アニメの冒頭を何回も繰り返して視聴することになった。このあたり、映画館とは違うということを実感した。

このほか気になった点はあるだろうか。VR GEAにより視覚が、ヘッドホンにより聴覚が完全に塞がれる。このためコンテンツへの没入感が高く、とても結構なのだが、一方で貴重品を気にする人もいるだろう。説明によれば、VR THEATERの提供店舗では貴重品は手元に置いてもらい、またスタッフが常時監視するとのことだった。

360度、どの方向を見ても映像が見れるというのは確かに新鮮で楽しい。若干気になる点はあるが、VRが普及することでどんどん解決していく問題でもあるだろう。日本全国で、素敵な体験ができるようになる日を、楽しみに待ちたい。