11月11日、ベネッセスタイルケアは「ベネッセ シニア・介護研究所」を開設すると発表した。奇しくも同日は、厚生労働省が定めた「介護の日」であり、今回の発表の内容も含め、ベネッセグループがいかに“介護”事業に力を入れているかを印象づけた。
この発表会で最初に登壇したベネッセホールディングス 代表取締役会長兼社長の原田泳幸氏は、同グループの介護事業の位置づけについて語った。それによると「介護事業は教育事業と並ぶ重要な柱として捉え、さまざまな事業ポートフォリオの中でもきわめて大事」と語った。
というのも、ベネッセグループが主軸としてきた国内教育事業に暗雲が垂れ込んでいるからだ。少子化による教育を必要とする若年層の減少という構造的な要因に加え、ICTを活用した他企業の追随も大きくベネッセの事業に響いた。さらに、2014年7月に発覚した個人情報漏えい問題により、国内教育事業の信用は大幅に低下したことも業績に大きく影響した。
事実、2015年3月期の決算では、国内教育事業領域は販売高2,388億円だったが、前年度比約94%と苦戦した。
一方で明るいきざしもみえる。その最たるものが海外教育事業領域とシニア・介護事業領域だ。2015年3月期の発表で、前者は販売高210億円、前年度比約118%、後者は872億円、前年度比109%とほぼ2桁増の成長を果たした。原田氏も「海外展開と介護事業はグループ内でもっとも重要」と語ったとおり、“進研ゼミへの依存”からの脱却に両事業がいかに大切かをうかがわせた。