Java、C++、Objective Cのコードが利用可能に

ユニバーサルアプリを推進すること自体は、以前から発表済みだったのだが、今回の発表ではユニバーサルアプリの開発手段が4つあることが明らかになった。1つは、ウェブベースのコードを元にした開発で、Windowsアプリとしての体裁を持ち、Windowsが提供する決済などの機能も利用できるが、内部のコードはHTML 5などを使えるというもの。2つめが、従来のWindowsアプリと同様に.NETやWin32 APIを使ったものだ(Direct Xなどのハードウェアに依存する機能は制限される)。

ここまではこれまでもわかっていたが、今回明らかになった3つめ、4つめが凄まじい。3つめはAndroidで使われているJavaやC++ベースのコードが、4つめにはiOSで使われているObjective Cのコードが、それぞれ利用できることが明らかにされたのだ。

Ojective Cの名前が挙がると会場は大きくどよめいた。アップルは新言語「Swift」への移行を進めているが、Objective Cの資産がまだまだ多く残っているのも事実だ

デモではわざわざリンゴが食べられてしまうiOS用のゲームを移植してみる徹底ぶりで、AndroidやiOSアプリをWindows用に移植させる気が満々だ

新しいプラットフォームの普及には優れたアプリの種類が不可欠であり、そのためには移植性を高め、これまでのコードを流用しやすくするのが近道だということを、マイクロソフトはよく理解している。

開発者側の視点からすれば、Windows 10に移行できるハードウェアは10億台とも言われており、iOSやAndroidをはるかに超える巨大な市場に、手持ちのアプリを武器に参入できることになる。もちろんすべてのコードをそのまま動かせるわけではなく、色々と調整は必要になるだろうが、障壁が小さくなったことは間違いない。

ユーザーの視点から見ても、1つのアプリがデスクトップでもモバイルでも動作するというのは、同じ名前のアプリを2つの環境でダウンロードして使うのとは、一つ上の次元の話になる。ユニバーサルアプリにはデスクトップアプリと比べて制限もあるのだが、そうしたデメリットを上回るメリットが感じられるだろう。

Windows 10を1年間無償でアップグレード可能にしたことで、Windows 10のインストールベースは過去最高のペースで伸びることが予想される。仮に2割のユーザーがWindows 10にアップグレードすると考えても、短期間で数億台の市場ができあがる計算だ。そこにアプリを移植しやすい手段も整えてお膳立てしたわけで、iOSやAndroidに続く第3のモバイルOSどころか、これらを飲み込んで市場を奪い返そうという強い野心が明らかになった。久々にマイクロソフトが牙をむいた瞬間を見た気分だ。