米Appleは9日(現地時間)に行われた新製品発表会において、医学研究用に設計されたソフトウェアフレームワーク「ResearchKit」を発表した。4月よりオープンソースとして提供される予定だ。

ソフトウェアフレームワークとは、アプリ開発の枠組みとなる汎用的な機能をまとめたもので、これを利用することで開発者は独自に必要な機能に集中して効率よく開発を進めることができる。ResearchKitでは、医療・研究機関がiPhoneアプリを使って患者のデータを頻繁かつ正確に収集するための枠組みが提供される。

健康状態を記録するフレームワーク「HealthKit」に続き、医療リサーチのための「ResearchKit」を提供

ユーザーの許可を得てサードパーティ製デバイスやアプリで測定された体重・血圧・血糖値といったデータを収集できるほか、iPhoneの加速度センサー・マイク・GPSなどにアクセスし、歩行や運動機能、言語能力の測定なども可能。

収集された情報はiPhoneから研究者に送られるため、患者が遠隔地からも研究に参加することが可能になり、より大規模な研究で多くのデータ収集と分析が実現する。これにより、医師が患者の状態をより深く把握し、一人ひとりに合った治療が行うことにも役立つとしている。また、プライバシー保護のためにAppleでは収集されたデータの内容は把握せず、医療機関に直接送信される。

発表会ではぜんそく患者やパーキンソン病の研究など、医療機関・研究機関が開発した5つのResearchKitアプリが紹介された。これらはすでにApp Storeで提供されており、日本でもダウンロードが可能だ。

Asthma Health

ぜんそく患者向けの教育とモニタリングをサポート

The Share the Journey

乳がん患者の経過観察と症状緩和に効果的な方法を調べる

MyHeart Counts

患者の活動・ライフスタイルと心臓血管の健康状態との因果関係を調査

GlucoSuccess

食事、運動、投薬といった各種要因と血糖値との関連性を把握

Parkinson mPower

パーキンソン病患者がiPhoneのセンサーを使用して活動を測り、症状を記録

すでに5つのResearchKitアプリがApp Storeで提供されている