ティアックは、Wi-Fi接続に対応したリニアPCMレコーダー「DR-22WL」および「DR-44WL」を、同社TASCAMブランドより全国の楽器店等にて発売する。販売開始は10月上旬。価格はオープンプライス。市場想定価格は「DR-22WL」が1万6,444円、「DR-44WL」が3万3,111円(いずれも税抜き)。

DR-22WL

DR-44WL

発表会で展示された実機。左から、DR-44WL、DR-22WL

今回発表された両製品は、同社が2008年から販売しているリニアPCMレコーダーDRシリーズに、Wi-Fiによるリモートコントロールや再生モニタリング、ファイル転送機能を追加した次世代モデルだ。

このたびの新機種に搭載された目玉機能は、スマートフォンに専用アプリ(無料)をインストールすることで、遠隔操作や遠隔モニタリングが可能となった点。これにより、手の届かない場所に設置しての遠隔レコーディングが行えるようになった。スマートフォンからは再生/録音のみならず、メーター表示や録音設定の変更などの制御も行えるという。さらには、Wi-Fi経由でのワイヤレスによるファイル転送をサポートしており、音楽ファイル共有サービス「SoundCloud」との連携機能も搭載しているため、ライブ会場などの現場で録音したファイルをすぐさまスマートフォンに転送し、その場でSoundCloudにアップロードすることが可能。なお、両製品をWi-Fi経由で操作するアプリ「TASCAM DR CONTROL」は、iOSとAndroid版が用意される予定となっている。

iPhoneやAndroidスマートフォンから遠隔操作を行い、録音や動作確認、音声データの転送などが行える。データ転送機能の実装に際して、非圧縮のWAVファイルとmp3ファイルの同時録音も可能になったとのこと

同機種に関して17日に発表会が行われたが、その席で同社の小泉貴裕氏は、この機能の実装に至った経緯を解説。ハンディレコーダーという製品カテゴリに対して、以前より録音品質の向上のために「手の届かない場所に設置したい」というニーズが寄せられていて、赤外線や有線によるリモコンを提供していたが、通信が不安定であったり、操作できる内容が限られたりする面があったという。そこで、現場の要望を満たすような広範な機能を遠隔で操作する方法として、近年広く普及した感のあるスマートフォンにアプリをインストールし、Wi-Fi通信によって連携させる方法を採用。ライブハウスなど、演奏中に観客による接触が起こりやすい録音現場での利便性が向上するだろうと語った。

DR-22WL

「DR-22WL」は、使いやすいユーザーインタフェースを追求したシンプルなモデルで、管弦楽器やピアノ、アコースティックギターなど、アコースティック楽器を中心とした音楽録音に適しているほか、デジタル一眼レフカメラの動画撮影用レコーダーやインタビューの録音など、音楽以外の用途にも向いているという。

DR-44WL

「DR-44WL」は、PGAやショックマウント機構などを備えた高音質回路を持つ4トラックのリニアPCMレコーダー。ステレオコンデンサーマイクを搭載するほか、XLR/TRS外部入力端子を活用した高度な録音や、楽曲制作に活用できるMTRモードを搭載するなど、コンサート録音から音楽制作まで幅広い用途に対応した上位モデルとなっている。