キャリアはどう変化する?

考えられる変化としては、端末を販売している大手携帯キャリアはより自衛の方向に向かうことだ。具体的には「端末本体価格の引き上げ」「契約期間の長期化」といった具合だ。

総務省のアイデアの1つが「MVNOら他事業者の参入や活動を容易にする」ことなので、当然MVNOらは低料金をセールスポイントにしたプランを売り出してくる。SIMロック解除義務化によりユーザーのMVNOへの移行が容易になるため、大手キャリアに対しても料金引き下げ圧力がかかることになる。

一方で最初のハードルである「端末購入」の価格を引き上げざるを得なくなり、これまでのような「0円販売」は厳しくなる可能性がある。「せっかくユーザーに提供した最新端末をそのまま別キャリアに持って行かれる」のを嫌がる大手キャリアもいるだろう。端末価格への転嫁だけで足りない部分は、契約期間の延長で対抗してくるはずだ。

今夏に発表された新料金プランで基本料金が大手3社で横並びになるなど、販売奨励金や割引プランで他社からの積極的なユーザーの移行を促していた日本の携帯業界は「積極的な競争」から「刈り入れ時」へと移行しつつある。こうしたなか、SIMロック解除義務化政策が大手キャリアらをより積極的な囲い込み戦略へと向かわせるのは想像に難くない。

いずれにせよ、SIMロック解除義務化で「最新のハイエンド端末を安価に入手」するのは以前よりも難しくなる可能性が高い。