ここからは、実際の作例写真を見ながら、焦点距離ごとのレンズの特性を見ていきましょう。次の2枚は焦点距離35mmの単焦点レンズで撮影したもの。

一般的にポートレート写真といえば、顔のアップまたはバストアップくらいのサイズで、人物のみを写した写真を連想する人は多いでしょう。前ページの撮り比べカットのような構図です。焦点距離35mmのレンズは、そうした正統派のポートレート用にはあまり向いていません。なせなら、前述したように近寄って撮ると、遠近感が誇張されるためです。その代わり、人物以外の要素を写し込んだスナップ的なポートレート用には、焦点距離35mmのレンズは打って付けです。

マニュアル(F2 1/200秒) 露出補正:±0 感度:ISO400 WB:太陽光 焦点距離:35mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

絞り優先(F2 1/640秒) 露出補正:+0.3 感度:ISO100 WB:太陽光 焦点距離:35mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

次の2枚も、焦点距離35mmのレンズで撮影したもの。カメラから人物までの距離をあまり空けられない狭い室内では特に役立ちます。

マニュアル(F4 1/125秒) 露出補正:±0 感度:ISO100 WB:太陽光 焦点距離:35mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

マニュアル(F2 1/125秒) 露出補正:±0 感度:ISO500 WB:太陽光 焦点距離:35mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

次の3枚は、焦点距離50mmの単焦点レンズで撮影したもの。人間の視野に近い範囲を写すことができ、自然で素直な構図で撮りやすい焦点距離といえます。ちなみに、この連載の第5回と第6回でも、ほとんどの写真を50mmレンズで撮影しています。

絞り優先(F1.2 1/3200秒) 露出補正:+0.3 感度:ISO200 WB:太陽光 焦点距離:50mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

絞り優先(F2.8 1/1600秒) 露出補正:+0.3 感度:ISO100 WB:太陽光 焦点距離:50mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

マニュアル(F4 1/500秒) 露出補正:±0 感度:ISO100 WB:太陽光 焦点距離:50mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

最後の2枚は、焦点距離100mmの単焦点レンズで撮影したもの。100mmなら、人物にあまり接近することなく、顔を大きくとらえることが可能です。撮られる相手に威圧感や緊張感を与えず、カメラを意識しないナチュラルな表情を引き出すには、このくらいの長めの焦点距離が便利といえます。

マニュアル(F4 1/640秒) 露出補正:±0 感度:ISO100 WB:太陽光 焦点距離:100mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

絞り優先(F2 1/3200秒) 露出補正:+1 感度:ISO200 WB:太陽光 焦点距離:100mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

(モデル:葉月ゆめ)

「一歩上ゆくデジカメ活用術」バックナンバー
第1回 イルミネーションを利用してボケのある夜景写真を撮る
第2回 冬の逆光を生かして印象的なスナップショットを撮る
第3回 水族館の生き物たちを幻想的なイメージで撮る
第4回 夜空に浮かび上がる満天の星を撮る
第5回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・表情編
第6回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・背景編
本連載では、取り上げてほしいテーマを募集しております。ご連絡の際は、編集部のお問い合わせ窓口までお願い致します。