韓国LG ElectronicsのAndroid搭載スマートフォン「LG G2」は、今年8月に同社のフラッグシップモデルとして発表されたグローバル市場向けの製品。これまで本体側面や正面に配置されていた物理キーをすべて背面の1カ所に集めた「Rear Key」という新しい操作コンセプトを導入し、使いやすさを一番に考慮したデザインが特徴の端末だ。現時点では国内展開は未定とされているが、これまでの経緯から考えれば、今冬の新モデルとして登場することは間違いないだろう。

海外では、このLG G2のレビューなどが各誌で掲載されている。例えば「Phone Arena」では、GALAXY S4やHTC Oneといった各社のフラッグシップと比較した上で、高評価を与えており、特にカメラ機能を飛躍させたと紹介している。「GSM Arena」では、「革新的な電源ボタン」と表現。指を折り曲げたりせず、ダブルタップで画面オンオフできるジェスチャー機能を利点としてあげている。そのほかにも、IPS方式の液晶の美しさ、細いベゼルなどのデザイン、カメラといった部分が評価されているようだ。

8月に発表されたフラッグシップモデル「LG G2」

今回、いち早くグローバル版を試用する機会を得たので、実際のG2の使用感をお伝えしたい。なお、試用機はグローバル版で国内の技術適合証明(技適)が取得されていないため、無線機能全般は利用していない。また、国内版が登場した際には仕様が変更されている可能性もあるので注意いただきたい。

大画面でも操作性に工夫

LG G2は、5.2インチフルHD液晶を搭載したAndroidスマートフォン。液晶テレビなどPC向けモニタも提供するLGが得意とするIPS方式のディスプレイを搭載するため、画面表示は鮮やかで色味は自然だ。広視野角なので、どんな体勢からでも画面が見やすい。アスペクト比は16:9で、解像度は423ppiと高精細。5.2インチという大画面と合わせて、映像や電子書籍、写真などの利用にも適している。

5.2インチフルHDの大画面液晶を搭載。IPS方式なので、視野角が広く、どの角度から見ても色の変化が少ない

5.2インチの大画面液晶を採用するLG G2だが、狭額縁設計を採用することで持ちやすいサイズの横幅を実現している点も特徴。本体サイズは138.5(H)×70.9(W)×8.9(D)mm。8.9mmと薄型なので、持ちやすさは良好だ。

左右のベゼルはわずか2.65mmで、端末表面のほとんどがディスプレイで構成されている

デザインとしては、前述の「Rear Key」が特徴的。人差し指が触れる背面のカメラ下に「Rear Key」が設置されており、端末表面や側面にハードウェアボタンはまったくない。この「Rear Key」により、操作性の向上に加えて、前述の狭額縁設計や薄型化が可能となっているのだ。

背面にはカメラと「Rear Key」が設置されている。Rear Keyの中央が電源、上下はボリュームのコントロールが可能

本体側面はボタンのないすっきりとしたデザイン。ややカーブした側面デザインで、手にフィットする

大画面でも操作性に工夫

LG G2は、大画面をできる限りコンパクトなボディに収め、その上操作性を犠牲にしないよう様々な工夫が施されている。その工夫の1つがジェスチャー機能だ。

例えば、一般的なスマートフォンでは電源ボタンが側面に設置されているが、前述の通りLG G2は、背面の「Rear Key」がこの機能も兼ねる。よって、端末を机の上に置いた場合に画面をオンにしようとすると、どうしても本体を持ち上げ、背面のボタンを押さなければならなくなる。

そのような場合に利用できるのが、ジェスチャー機能の「KnockON」だ。同機能は、画面を2回タップするだけで画面が点灯。ホーム画面のアイコンがないスペースや、画面上部のステータスバーを2回タップすることで画面を消灯できるというもの。このノックオン機能を使うことで、いちいち背面に指を回さなくても画面オンオフが可能なのだ。

設定項目に用意されている。「ジェスチャー」設定。こちらで「KnockON」をオンにすると、タップ操作で画面のオンオフが可能になる

このほか、音声通話を受信したときなど、端末ロックを解除せずに自身の耳に端末を近付けるだけで応答できる「Answer Me」といった機能も用意されている。

光学手ブレ補正に対応した高性能カメラを搭載

冒頭で触れたとおり、LG G2ではカメラ機能も強化されている。裏面照射型CMOSセンサーを採用した有効1,300万画素カメラを搭載しており、光学式の手ブレ補正機能(OIS)を備える点が大きな特徴だ。これは、撮影時にレンズの一部を動かすことで手ブレを軽減し、写真のブレを抑える機能だ。同機能を実際に試してみると、暗所撮影での手振れも少なく、明るくシャープな写真を撮影することができる。

カメラは有効1,300万画素で、光学式の手ブレ補正に対応。設定次第では、「Rear Key」でシャッターを切ることもできる

カメラのGUIは比較的シンプル

カメラの設定項目。「モード」から、様々な機能が呼び出せる

このほか、多点オートフォーカス(AF)をサポートしている点も特徴だ。画面中央付近に9点のAFポイントが表示され、複数ポイントでピント合わせが行われる。普通のスマートフォンカメラは中央1点、またはタッチしたポイント1点でAFを行うが、G2は多点AFなので、例えばAFエリア内に複数の顔があったときに、両方の顔にピント合わせを行ってくれる。またAFエリア内で被写体が移動した場合も、改めて画面タッチでAF合わせをしなくても、自動でAFをあわせてくれる。

画面中央付近に9つのAFポイントが表示され、最適な位置にピントを合わせることができる

カメラ以外では、24bit・192kHzオーディオに対応。いわゆる「ハイレゾ音源」の再生が可能だ。このほか、ヘッドホンを接続時に画面下部に音楽や動画用のアイコンを自動表示し、スムーズに各機能にアクセスできるようにするなど、“使い勝手“も配慮されている。

さらには、SMSなどで送信されてきた情報を抽出してカレンダーに記録できる「Text Link」、LG G2で家電を制御できる「QuickRemote」とった独自機能も搭載する。

基本性能も妥協なし

ここまでLG G2の特徴的な機能を紹介してきたが、端末の基本スペックも申し分ない。プロセッサに2.26GHz駆動・クアッドコア「Snapdragon 800」(Qualcomm製)を採用し、2GBのメモリ、32GBのストレージを備える。

試用した範囲では、フルHD動画の再生もWebサイトのPC向けページの閲覧も、快適に行うことができた。バッテリ容量は3,000mAhで、本体の薄さを考えるとかなりの大型バッテリを搭載していると言えるだろう。

フラッグシップモデルにふさわしいハイスペックなスマートフォンであるLG G2だが、本稿で紹介した“使いやすさを向上させるための様々な工夫“が盛り込まれている点が最大の特徴だ。使っていくほどに良さが分かるタイプの製品だと感じた。今後日本国内で、同モデルが登場したら、手にとってその魅力を確かめていただきたい。

(執筆:三谷真)