充実したカラーグレーディングツールを備えた「ColorDirector 2」

ColorDirector 2は動画データに対し、さまざまなカラー補正・調整を行うためのソフトウェアである。新機能として注目したいのが、HDRエフェクトである。HDRの正式名はHigh Dynamic Rangeで、通常では表現されないダイナミックレンジを表現するものだ。たとえば、夜景や暗い室内などで、暗い部分が黒くつぶれてしまい、鮮明に見えないことがある。通常の撮影では適正な露出が設定され、ダイナミックレンジが狭くなってしまった場合であるが、このようなケースでこれを解消してくれるもので、写真などではよく知られている機能だ。ColorDirector 2では、この効果を動画データに適用し、コントラストをダイナミックに変化させてくれる。

実際にどう変化するのか、HDRエフェクトの前後を見比べてみるとわかりやすいだろう。まず、HDRエフェクト前である(図14)。

図14 HDRエフェクト前

図15がHDRエフェクト後である。

グローではハイライト部分に作用する。雲間の光などがより鮮明になっている。エッジでは、境界部分に作用する。この例では、川の波がよりはっきりとしているのがわかるだろう。強度や半径は、エフェクトの適用量と考えればよい。バランスは、右にドラッグする明るい部分に、左にドラッグすると暗い部分に適用される。このあたりは、プレビューを見ながら、調整していくとよいだろう。同社のWebサイトには、動画でこのHDR機能を解説している。適用後と適用前で印象が全く変わる。こんな映像が作れるようになるのだ。

次に、ColorDirector 2のユニークな機能であるモーショントラッキングを紹介しよう。まず、静止状態で領域をブラシで選択していく。ここでは、子供の服を選択するが、細かい部分は、ブラシのサイズを変更するとよい(図16)。

図16 領域を選択

こうして選択が完了したら、破線の円のような[モーショントラッキング開始]ボタンをクリックする。動画データの対象がすべて識別され、カラー調整が可能になる(図17)。

図17 対象が自動識別

これを利用した例が図18である。

図18 モーショントラッキングの例