2013年1月26日より、米国での携帯キャリアの許可なしでの携帯電話のSIMロック外し(Unlocking)が違法となる。これは昨年2012年10月にデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act: DMCA)の例外として米国議会図書館(Library of Congress)によって告示されたもので、キャリア縛りのある端末利用において制限が加わることになる。
同件はAll Things Digitalなどが報じている。もともとは2011年までの長い期間にかけて審議が行われ、翌年10月28日に執行されたもの。その経緯や内容はLibrary of Congressの著作権事務局の文章として公開されている(PDF形式)。同事務局では執行日から90日間の猶予を儲けており、その期限が切れるのが1月26日というわけだ。
携帯キャリアが販売する端末は多くの場合、「SIMロック」と呼ばれる他キャリアのSIM利用を防止する機能が施されている。一般的なITガジェットとは異なり、携帯電話では当該携帯キャリアとの1年または2年契約を結ぶことで本来の価格に販売推奨金を載せることで大幅な割引販売が行われており、これをSIMロックと組み合わせることで顧客の囲い込みを行っている。例えばAppleのiPhone 5の場合、AT&TやVerizon Wirelessといった携帯キャリアとの2年縛りで16GBの端末を購入すると199ドルだが、「Contract-free」と呼ばれる契約なしバージョンの同端末の価格は649ドルとなっている。つまり差額の450ドルを携帯キャリアが補填し、月々の携帯料金の中から徴収しているわけだ。
今回施行された新ルールにより、携帯キャリアの許可を得たうえで、正規の方法以外でのSIMロック解除は認められなくなる。携帯キャリアから直接端末を購入する際にも、あらかじめ店舗に契約なしバージョンの入手希望を伝え、差額の450ドルを支払うことでSIMロックを解除してもらえるが、「2年契約を満了してSIMロック解除を依頼する」「あらかじめ本来の端末価格との差額を支払ってSIMロックを解除してもらう」のいずれかの方法でない限り違法ということになる。また「脱獄(Jailbreaking)」などの名称で呼ばれるiPhone等でのOSシステム変更行為についても言及があり、携帯電話製品については「現時点で違法ではない」としているが、タブレット製品のJailbreakingについては「違法」と明記している。
携帯キャリアや端末メーカーの目が届かないところでSIMロック解除サービスを提供する業者がいたり、ユーザーの手でSIMロックを解除する方法がインターネット上などで公開されているが、こうした方法はすべて今後米国では違法という扱いになる。もしSIMロックフリー端末を入手したい場合は、正規の方法でSIMロックを解除する、あるいはSIMロックフリーとして提供されている端末を入手するしかない。またVerizon Wireless版iPhone 5のように初めからSIMロックがかかっていないケースもあるため、SIMロックフリー端末がほしいユーザーは各自研究してみるといいだろう。
(記事提供: AndroWire編集部)