パフォーマンスも向上

Googleによれば、バージョン15から24で、JavaScriptエンジン「V8」の性能は26.3%高速化したとのことである(図6)。

図6 OctaneによるJavaScriptエンジンの性能の比較(公式ブログより)

Chromeの大きな魅力の1つは、JavaScriptエンジンの速さにある。結果、高速なブラウジング環境を実現する。JavaScriptエンジンは、Chromeに限らず、地道な改良が行われている。JavaScriptエンジン以外にも、起動時間の短縮、クラウド印刷サービス「Google Cloud Print」でサーバ側の改良を行い、プリンタ選択画面のロード時間が半分となった。

MathMLをサポート

MathML(Mathematical Markup Language)は、数式を記述するためのマークアップ言語である。実際に表示したのが、図7である。

図7 MathMLを使った数式の表示(W3Cのサンプル)

数式というと思い浮かぶのは、TeXなどの文書処理系である。しかし、当初はHTMLで数式を表現する方法はなく、従来は画像などを使うことが多かった。歴史的には、HTML 3.0で数式表現が可能になり、その後、W3Cのワーキンググループなどでの勧告が行われている。個々のブラウザでは、独自対応もされていたが、Chromeでは今回のバージョンで対応となった。しかし、MathML自体は、非常に可読性が低い。たとえば、図7の最後の数式は、MathMLでは以下のようになる。

 <math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML">
   <msup>
     <msqrt>
       <mrow>
         <mi>a</mi>
        <mo>+</mo>
        <mi>b</mi>
      </mrow>
    </msqrt>
    <mn>27</mn>
  </msup>
</math>

たったこれだけでも、かなりの記述が必要となる。さらに、TeXなどと比較しても読みにくい。そこで、一般的には、エディタなどで数式を作成し、それを上のようなMathMLで出力するといった方法が採られている。一般的には数式を使うことは少ないかもしれない。しかし、アクセントや通貨記号などにも応用される可能性がある。

脆弱性の解消も

バージョンアップでは、脆弱性の解消も大きな要素である。バージョンでは、24件の脆弱性の修正が行われた。このうち、11件は危険度が上から2番目の「High」、3番目の「Medium」が8件、4番目の「Low」が5件であった。また、同時にFlash Playerプラグインもバージョン11.5.31.137へと更新され、従来のバージョンの脆弱性が解消されている。Chromeの場合は、自動的にアップデートが行われるので、あえてユーザーが意識することも少ないが、すでに利用中のユーザーは、図1で最新版かを確認しておいてもよいであろう。